fc2ブログ













とんでももののけ辞典68 大首 


1⃣大首

大首(おおくび)は、日本の妖怪の一つで、空中などに巨大な生首が現れるというもの。
~略~
概要
江戸時代の鳥山石燕の妖怪画集『今昔画図続百鬼』にこの名の妖怪画があり、解説文によれば、お歯黒をつけた巨大な女の生首が雨の夜空に現れるものとされるが[1]、これは伝承上にある妖怪ではなく、実際には当時の破戒僧を風刺した創作と指摘されている[2]。

江戸中期の妖怪物語『稲生物怪録』を描いた絵巻『稲亭物怪録』(慶應義塾大学三田メディアセンター、広島県立歴史民俗資料館所蔵)では、物置の戸を開くと巨大な老婆の顔が出現したという怪異が、「大首の怪」の題で述べられている。同物語の主人公・稲生平太郎が顔を火箸で突いたところ、少しも動じることはなく、ねばねばとした感触だったとある[3]。


2⃣大首はなぜ破戒僧の風刺だといえるのか、わからない。

鳥山石燕『今昔画図続百鬼』より「大首」

鳥山石燕『今昔画図続百鬼』より「大首」

まず石燕の「大首」について見てみよう。

大凡(おおよそ)物の大なるもの皆おそるべし
いはんや雨夜の星明りに鉄漿くろぐろとつけたる女の首おそろし
なんともおろか也

と記されているようである。

現代語訳すると
だいたい、物が大きいのは皆畏れるのだ。
なかでも雨夜の星明りに鉄漿(おはぐろ)をくろぐろとつけた女の首はおそろしい。
なんとも言い尽くせない。

のような意味になるだろうか。

雨が降っているのに空は晴れて星明りが見えている情景である。
星明り、ということは、おそらく月のない夜なのだろう。

これは昼間なら狐の嫁入りと呼ばれる状態である。

江戸時代の鳥山石燕の妖怪画集『今昔画図続百鬼』にこの名の妖怪画があり、解説文によれば、お歯黒をつけた巨大な女の生首が雨の夜空に現れるものとされるが[1]、これは伝承上にある妖怪ではなく、実際には当時の破戒僧を風刺した創作と指摘されている[2]。


とあるが、なぜ破戒僧を風刺した創作だと指摘されているのか、このウィキペディアの説明ではわからない。


2⃣飛行する首

古の日本には飛行する首の伝説がいくつか伝わっている。

❶蘇我入鹿
645年、乙巳の変で中大兄皇子に首を斬られ、斬られた首は皇極天皇の御簾に食らいついたという伝説がある。

多武峯縁起絵巻 複製 中大兄皇子に首を斬られる蘇我入鹿(談山神社)

❷玄昉
奈良時代、橘諸兄は吉備真備・玄昉らを重用し、738年、藤原広嗣は大宰府に左遷された。
740年、これを不服として藤原広嗣は乱をおこしたが、政府軍に鎮圧され、藤原広嗣は捕えられて斬殺された。
745年、藤原仲麻呂が権力を持つようになると、玄昉は筑紫観世音寺に左遷となり、746年に死亡した。
玄昉は観世音寺の落慶法要の際、藤原広嗣の怨霊に体をバラバラにひきさかれ、玄昉の首は奈良まで飛んで落ちたといわれている。
奈良市にある頭塔は玄昉の首が落ちた場所であると言い伝えられている。

頭塔

❸平将門
平将門は朝廷より派遣された平貞盛、藤原秀郷らの軍と戦って流れ矢にあたって死亡し、その首は京に持ち帰られて鴨川のほとりに晒された。
晒された将門の首は飛び上がって故郷まで戻って落ちたといい、その場所に将門の首塚は作られたという。

3⃣亀石は蛙で髑髏を表している?

飛鳥に亀石と呼ばれる謎の石がある。
長さ3.6メートル、幅2.1メートル、高さ1.8メートルという巨大なものである。

亀石

飛鳥 亀石

亀石は妖怪・ぬらりひょんにそっくりである。
眉間の半月状のしわまで同じである。
亀石とは巨大な髑髏を象った石ではないだろうか。

妖怪ストリート ぬらりひょん

妖怪ストリート ぬらりひょん

亀石は亀ではなく、蛙ではないかともいわれている。

龍王院 狛蛙

龍王院 狛蛙

上は奈良県吉野にある龍王院の狛蛙だが、龍王院は脳天大神とよばれ、首から上の病気に霊験あらたかと言われている。
蛙は人間のドクロをあらわしており、そのため龍王院には狛蛙が置かれているのではないかと思う。

蔵王堂 蛙飛行事3

蔵王堂 蛙飛行事

龍王院の近くに蔵王堂があり、毎年7月7日に蛙飛行事が行われているが、これは飛ぶ髑髏をイメージした行事ではないかと思う。

4⃣妖怪・大首は入鹿の首?

亀石のある飛鳥には甘樫丘があり、蘇我入鹿の邸宅は甘樫丘にあったとされる。
2⃣で述べたように、入鹿の首は皇極天皇の御簾に食らいついた、といわれている。
つまり、入鹿の首は飛んだのである。

この入鹿の首を象ったのが、亀石ではないか?

そして妖怪・大首とは巨大な入鹿の首の化け物なのではないか?

同物語の主人公・稲生平太郎が顔を火箸で突いたところ、少しも動じることはなく、ねばねばとした感触だったとある[3]。

とあるが、亀石が蛙なら、それはねばねばとした感触がするだろう。

惨殺された入鹿の遺体は、雨が降る外に討ち捨てられたという。
そうであれば、雨の日に妖怪・大首が現れる理由も説明できる。

しかし、蘇我入鹿は男である。
大首は鉄漿をした女の妖怪だ。
これをどう説明するのか。

↑ こちらのサイトには、築地市場の海幸橋門前の「波除稲荷神社」摂社・弁財天社にある「お歯黒獅子」の写真が掲載されている。
弁財天は女神なので、この獅子も雌なのかもしれない。

日本の神は性別がルーズで、聖徳太子がという「女に生まれ変わって親鸞の妻になろう」と言ったという話もある。

蘇我入鹿はもともとは日の神であったのではないか。
その証拠に、蘇我入鹿を祀る入鹿神社のある橿原市小網町では鶏を飼わなかったという。
鶏鳴を合図に入鹿に斬りかかったからだというが、鶏は天照大神の神使である。
天照大神は女神だが、京都祇園祭岩戸山のご神体の天照大神は男神である。

岩戸山 天照大神

ところが日の神は、雨の中打ち捨てられて雨の神となった。

陰陽では晴が陽、雨が陰、男が陽で女が陰である。

そういうわけで入鹿は男神から女神へ転じたということなのかもしれない。



関連記事
スポンサーサイト




[2022/05/11 00:00] トンデモもののけ辞典 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://arhrnrhr.blog.fc2.com/tb.php/817-0d25e611