トンデモもののけ辞典60 臼負い婆
1⃣臼負い婆
臼負い婆(うすおいばば)は、新潟県佐渡島の怪談集『佐渡怪談藻汐草』にある日本の妖怪。
概要
新潟県佐渡郡小木町(現・佐渡市)宿根木の「あかえの京」という場所の海で、ある者が仲間と一緒に釣りをしていた。よく釣れると評判の場所だったが、その日はまったく魚が釣れず、雨が降り出し、まだ七つ下がり(午後4時過ぎ)なのに周囲は薄暗くなってきた。
やがて、海の底から人の形のような化け物が浮かび上がってきた。それは色の白い老婆のようなもので、両手を背に回して何かを背負っているようで [1]、髪は乱れ、目は鋭く、口には牙のようなものが見えた。周囲の人々を見回したかと思うと、また海の底へと消えた。
仲間が言うには、あれはあやかし(海の妖怪)の一種であり、2,3年または4,5年に一度だけ現われる「臼負い婆」と呼ばれるもので、この場所では昔からよく見かけられるが、特に心配は要らないとのことだった。
「臼負い婆」の名は、この宿根木の怪談以外に確認されていないが、昭和・平成以降の妖怪関連の文献では、磯女や濡女といった海の妖怪の同類と考えられている[2]。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%BC%E8%B2%A0%E3%81%84%E5%A9%86 より引用
※太字は筆者(私)による。
2⃣佐渡ヶ島 小木海岸 宿根木海岸
妖怪が出現した場所は小木海岸、宿根木海岸付近だと思う。
「あかえの京」というのはわからないが、「京」というのは「小京都」というような意味だろうか。
宿根木には船大工さんが多く住む町並みが残っており、国の重要伝統的建造物群保存地区になっているという。
宿根木
3⃣佐渡怪談藻汐草
佐渡怪談藻汐草について記された記事があった。
孫引きの引用になってしまうが、ご勘弁いただきたい。
怪談藻汐草(かいだんもしおぐさ)
安永七年(一七七八)より一○年ほど前からの書を、太 という人が書き筆写したとあり、著者ははっきりしない。さらに、その書を文政十年(一八二七)六月、静間義敬が筆写したものが流布していた。内容は三九篇の怪談ばなしを記録したもの。特に貉の怪異談が多い。「窪田松慶療治に行きし事」「高田備寛狸の火を見し事」「百地弥三右衛門狸の謡を聞きし事」「鶴子の三郎兵衛狸の行列を見し事」「真木の五郎鰐に乗りし事」「上山田村安右衛門鰐を手捕りにせし事」「霊山寺山へ大百足出でし事」「大蛸馬に乗りし事」「小川権助河童と組みし事」などである。とりとめもなき怪談であるが、そのころ広く知られていた話であり、当時の世間の様子や人情の一端を見ることができる。
【参考文献】 「佐渡奇談」「怪談藻汐草」「鄙の手振」(『佐渡郷土史料』三集)
【執筆者】 山本修巳
(『佐渡相川の歴史』別冊 佐渡相川郷土史事典より引用)
http://gashima.jugem.jp/?eid=1761より引用
「安永七年(一七七八)より一○年ほど前からの書を」とあるのは、どういう意味なのかわからないが
1778年±10年ぐらいの書物を書き写したということだろうか。
4⃣たらい舟
小木海岸ではたらい舟による磯ねぎ漁がおこなわれている。
たらいに海女さんがのりこみ、ワカメ、サザエ、アワビなどを採取する。
最近では観光用のたらい舟もあるようである。
1802年の佐渡小木地震で海面の隆起し、岩礁と入江ができ、それによって、ワカメ、アワビやサザエなどが豊富に採れるようになった。
この漁を効率的に行うためにたらい舟が考案されたらしい。
たらいは臼のように見える。
何かを背負った婆とはこのたらい舟による漁で水死した老女の幽霊ではないか?
佐渡怪談藻汐草が1778年±10年ぐらいの書物を書き写したものであれば、たらい舟がつくられるようになったのは1802年なので時代があわない。
もしかすると「10年ほど前からの書」を、1778年から書き写したということだろうか。
こういう意味であるとすれば、1778年から書き写しを初めて、いつまで書き写したのかが記されていないことになる。
「その書(佐渡怪談藻汐草)を文政十年(一八二七)六月、静間義敬が筆写したものが流布していた。」
とあるので、それ以前の1802年以降の書が書き写されていた可能性はあるが、さて、どうだろう。
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