とんでももののけ辞典54 磯天狗
『日本書紀』によれば637年に大流星があり、これを僧旻が 「あれは流星ではなく天狗(アマツキツネ)だ」 と言ったとある。
天狗に磯がついて磯天狗となっているので、磯に落ちてきた(ように見える)流星ではないかと私は思う。
ウィキペディアの説明で
「尾張国(現・同県)のある村で、海上に小さな白煙が回転しながら現れて次第に大きさを増し、竜巻のような凄まじい風と共に山へ飛来し、また飛び去ってゆくものが磯天狗の仕業と呼ばれたという。」
とある。
「竜巻のような」とあるが、これはずばり竜巻だろう。
海で発生した竜巻が山に移動し飛び去る現象をひきおこすものが磯天狗であるというのだ。
2006 年 9 月 17 日宮崎県延岡市を襲った竜巻では 3名の死者と 143 名の負傷者を生じ、同年 11 月 7 日の北海道佐呂間町の竜巻では 9 名の死者と 26 名の負傷者を生じた。我が国で大きな被害を生じた竜巻としては、1881 年 9 月 26 日に宮崎市で 16 名、1941 年 11 月 28日愛知県豊橋市で 12 名、1903 年 9 月 23 日に東京都新宿区で 10 名の犠牲者が出た例が報告されている.
https://www.metsoc.jp/kansai/publication/Pdf/Sc/035_kakidaigaku.pdf より引用
上記記事に愛知県豊橋市で竜巻被害があったことが記されている。
磯天狗がひきおこした竜巻は、尾張国(愛知県西部)であって、豊橋は尾張には含まれないが、近隣にはなるので
尾張で海で発生する竜巻が観測されることがあったのかもしれない。
竜巻は、我が国では、基本的にどこでも発生すると考えた方が良い。
https://www.metsoc.jp/kansai/publication/Pdf/Sc/035_kakidaigaku.pdf より引用
とも書いてあるが。
竜巻は積乱雲によって起きる現象であり、積乱雲が近づいたときにはあたりが暗くなり、雨が蒸発してできる冷たい風が吹き始めたり、雷鳴が聞こえ始めたりする。竜巻で最も危険なのは、風速 50m/s でも時速にすると 180km に達する速度で飛んでくる瓦や鉄板などの飛散物当たることや、自分自身が風で飛ばされることである。
https://www.metsoc.jp/kansai/publication/Pdf/Sc/035_kakidaigaku.pdf より引用
竜巻で瓦や鉄板が飛散するのだから、石なども飛散するのだろう。
磯を形成する岩は天から降ってきた星であるだけでなく、竜巻が運んできたと古の人々は考えていたのかもしれない。
和歌山県 白崎海岸
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