土蜘蛛の謎⑥ 燈籠の火袋が『土蜘蛛の塚』と呼ばれている理由

北野天満宮 梅
①土蜘蛛の塚
満開の梅が咲き誇る北野天満宮。
拝殿前にはひっきりなしに受験生が訪れ、柏手を打って合格祈願をしている。
北野天満宮の楼門を出て参道を大鳥居の方に向かって歩いていくと右手(西)に東向観音寺というお寺がある。

参道を多くの人が行きかっているが、ほとんどの人はそこに寺があることなど気にも留めずに通り過ぎていく。
東向観音寺の境内には舞妓さんがひとりいるだけでひっそりとしていた。
しかし、ここには有名な『土蜘蛛の塚』があり、オカルトファン必見の名所なのである。
本堂の向かって左の奥まったところに小さい祠が作られていて、中に燈籠の火袋が納められていた。
これが『土蜘蛛の塚』である。

東向観音寺 土蜘蛛の塚
北野天満宮から10分ほど歩いたところ(七本松通一条上る)に清和院という寺がある。
この清和院前に『蜘蛛塚』または『山伏塚』と呼ばれる墳丘があった。
明治31年にこの塚の発掘調査が行われた際、この燈篭が発掘された。
たいして学術的に価値があるものではなかったのだろう、ある人が燈籠を貰い受けて庭に飾っておいたところ、いろいろよくないことが起こるようになり、土蜘蛛の祟りだという噂たたった。
それでその火袋を東向観音寺に奉納したのだという。
『土蜘蛛草子』に、平安時代、源頼光が土蜘蛛を退治したという物語が記されている。
この話は『頼光と土蜘蛛』というタイトルで大念仏狂言の演目にもなっている。

嵯峨狂言・頼光と土蜘蛛
清和院前にあった蜘蛛塚はこの頼光が退治した土蜘蛛が住んでいた場所だとされている。
しかし現在、蜘蛛塚はない。
明治31年の発掘調査の際に取り壊されたのだろう。

清和院
②土蜘蛛と髑髏の関係
なぜ燈籠の火袋が土蜘蛛の塚とされたのか。
それはもちろん、その燈籠の火袋が蜘蛛塚から出土したものだからだが、私は他にも理由があると考えている。
土蜘蛛草子によれば、『源頼光らが空飛ぶ髑髏のあとをつけていったところ土蜘蛛の巣があった。』と記されている。
どうも髑髏と土蜘蛛は関係が深いようだ。
土蜘蛛の謎② 土蜘蛛とは首のない人間のことだった?
↑ こちらの記事の中で私は一言主神社にある『土蜘蛛の塚』と『亀石』について、次のように記した。
一言主神社の言い伝えを整理すると次のようになる。
土蜘蛛の胴体・・・土蜘蛛の塚の下に埋められた。
土蜘蛛の頭部・・・神殿の下に埋められた。
土蜘蛛の脚・・・・神殿より100mほど先にある鳥居付近に埋められた。
『土蜘蛛の塚』は見る角度によっては二つのふくらみがあるように見え、蜘蛛の形をしているように見える。
(蜘蛛は頭胸部と腹部のふたつの部位よりなる。)
一言主神社 土蜘蛛の塚
↑ こちらの記事の中で私は一言主神社にある『土蜘蛛の塚』と『亀石』について、次のように記した。
一言主神社の言い伝えを整理すると次のようになる。
土蜘蛛の胴体・・・土蜘蛛の塚の下に埋められた。
土蜘蛛の頭部・・・神殿の下に埋められた。
土蜘蛛の脚・・・・神殿より100mほど先にある鳥居付近に埋められた。
『土蜘蛛の塚』は見る角度によっては二つのふくらみがあるように見え、蜘蛛の形をしているように見える。
(蜘蛛は頭胸部と腹部のふたつの部位よりなる。)

一言主神社 土蜘蛛の塚
一言主神社 亀石
飛鳥の亀石も人間のドクロに似ている。
飛鳥 亀石
『土蜘蛛の塚』が土蜘蛛の胴体を埋めたうえに置いた石であるならば、亀石は土蜘蛛のドクロを埋めたうえに置いた石なのではないか。
昆虫の体は頭部・胸部・腹部の3つに分かれているが、蜘蛛は頭胸部と腹部のふたつの部分からなり、昆虫とは別の動物とされている。
『土蜘蛛の塚』は蜘蛛の形に似ているが、これに階段の登り口にある『亀石』を合体させると蟻のような昆虫の形になる。
ここから私は『昔の人は蜘蛛を頭部のない昆虫だと考えたのではないか。』と考えた。
そして『記紀に登場するまつろわぬ民・土蜘蛛とは謀反の罪などで斬首された人のことではないか。』と推理した。
とすれば、空飛ぶ髑髏と土蜘蛛の関係がわかる。
土蜘蛛の髑髏は胴体から切り離されてしまったので、居場所がなく、空を飛んでいるのではないだろうか。
③髑髏を思わせる鉢形の笠
東向観音寺の燈籠の笠の部分は、まるで鉢をひっくり返したような丸みを帯びた形をしている。
また、『鉢が開く』『鉢巻』などのように、頭のことを『鉢』ということがある。
東向観音寺の燈籠の火袋が『土蜘蛛の塚』と呼ばれているのは、その笠の部分が髑髏を思わせるような鉢形をしているためではないだろうか。
一言主神社の『土蜘蛛の塚』は首が切り離された『土蜘蛛の胴体』を模した石であるのに対し、東向観音寺の『土蜘蛛の塚』は胴体から切り離された『土蜘蛛の首』をイメージさせるところから『土蜘蛛の塚』と呼ばれているのだと思う。
亀石とは土蜘蛛の胴体から切り離された頭部のことだと考えられるので、東向観音寺の『土蜘蛛の塚』は『亀石』だと言ってもいいだろう。
北野天満宮 梅

飛鳥 亀石
『土蜘蛛の塚』が土蜘蛛の胴体を埋めたうえに置いた石であるならば、亀石は土蜘蛛のドクロを埋めたうえに置いた石なのではないか。
昆虫の体は頭部・胸部・腹部の3つに分かれているが、蜘蛛は頭胸部と腹部のふたつの部分からなり、昆虫とは別の動物とされている。

『土蜘蛛の塚』は蜘蛛の形に似ているが、これに階段の登り口にある『亀石』を合体させると蟻のような昆虫の形になる。
ここから私は『昔の人は蜘蛛を頭部のない昆虫だと考えたのではないか。』と考えた。
そして『記紀に登場するまつろわぬ民・土蜘蛛とは謀反の罪などで斬首された人のことではないか。』と推理した。
とすれば、空飛ぶ髑髏と土蜘蛛の関係がわかる。
土蜘蛛の髑髏は胴体から切り離されてしまったので、居場所がなく、空を飛んでいるのではないだろうか。
③髑髏を思わせる鉢形の笠
東向観音寺の燈籠の笠の部分は、まるで鉢をひっくり返したような丸みを帯びた形をしている。
また、『鉢が開く』『鉢巻』などのように、頭のことを『鉢』ということがある。
東向観音寺の燈籠の火袋が『土蜘蛛の塚』と呼ばれているのは、その笠の部分が髑髏を思わせるような鉢形をしているためではないだろうか。
一言主神社の『土蜘蛛の塚』は首が切り離された『土蜘蛛の胴体』を模した石であるのに対し、東向観音寺の『土蜘蛛の塚』は胴体から切り離された『土蜘蛛の首』をイメージさせるところから『土蜘蛛の塚』と呼ばれているのだと思う。
亀石とは土蜘蛛の胴体から切り離された頭部のことだと考えられるので、東向観音寺の『土蜘蛛の塚』は『亀石』だと言ってもいいだろう。

北野天満宮 梅
東向観音寺・・・京都市上京区今小路通御前通西入上る観音寺門前町 863
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