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トンデモもののけ辞典㉙ 紫女


蘆山寺

蘆山寺

①日本の吸血鬼・紫女

筑前国袖の湊に住む某伊織という男の前に紫色の着物を着た美しい女性が現れた。
男はその女と夜ごとに契をかわした。
すると男は二十日もしないうちにげっそりと痩せてしまった。
医者は「その女は『紫女』である。人の血を吸い、しまいには殺してしまう。この女を斬り殺せ。」と言った。
伊織が女を斬ろうとすると、女は消えかかって逃げていきました。
追いかけると橘山の木深い洞窟へ入っていきました。
その後も死後のあさましい姿となって表れたので、国中の仏道修行者を呼び寄せて弔ったところ、ようやく影がきえた。
(西鶴諸国はなし)

⓶恋する女は紫色に染まる?

この吸血鬼の名前が紫女というのがオモシロイ!

次の2首を鑑賞してみてほしい。

❶紫の にほへる妹を 憎くあらば 人妻故に 吾恋ひめやも/大海人皇子
(紫草のように美しいあなた。あなたが憎ければ、人妻と知りながら、こんなに恋い焦がれずにいられるものを。)

❷紫は ほのさすものぞ 海石榴市の 八十のちまたに 逢へる子や誰/詠人知らず
(顔をぽっと赤らめた海石榴市の辻で逢った貴女は、何というお名前ですか。)
※紫色に布を染める際、媒染剤として椿の灰をいれると鮮やかに染まった。

この2つの歌を鑑賞すると、女が男に恋する様子を紫と表現していたのかな、と思える。
それで男と契りながら血を吸っていた女の妖怪のことを紫女というのではないだろうか。

③小松と紫色の玉箒草を合わせる神事

こちらの記事に、「上賀茂神社 燃灯祭」について書いた。

上賀茂神社  燃灯祭

上賀茂神社  燃灯祭

燃灯祭は御阿礼野(みあれの)で小松を引き、境内に戻り、土舎で引いた小松に玉箒草(燃灯草)を添えて紙に包むという神事である。



玉箒草(燃灯草)はアザミに似た紅紫色の花を8月から10月ごろに咲かせる。
玉箒草というのは古名で、現在は田村草と呼ばれている。
田村草の写真はこちら→ http://www.hana300.com/tamura.html

古名の玉箒は、花後に多数の実がつく様子が箒に似ているところからくるのではないか、そしてそれが転訛して田村草になったのではないかといわれている。
また、その花が美しい紫色なので、多くの紫色の花をつける草、多紫草から田村草になったのだという説もある。

紫色の玉箒草は女性、小松は男性をあらわし、
男女を小松に玉箒草(燃灯草)を添えて紙に包むというのは、男女を和合させる神事の様に思える。

玉箒草の別名を燃灯草というのも興味深い。
燃灯草という名前は、恋する男性を目の前にして、恋心を燃やし、ぽっと顔を赤らめた女性を表しているようにも思える。

④御霊・和霊・荒霊と男神・女神

神はその表れ方によって御霊・和霊・荒霊に分けられるという。

御霊・・・神の本質
和魂・・・神の和やかな側面
荒魂・・・神の荒々しい側面

そして和霊は女神、荒霊は男神だとする説がある。
とすれば御霊は男女双体ということになる。

御霊・・・神の本質・・・・・・・男女双体
和魂・・・神の和やかな側面・・・女神
荒魂・・・神の荒々しい側面・・・男神

④男女和合は怨霊を守護神にする呪術?

大聖歓喜天(聖天)という仏教の神は象頭の男女双体のおすがたをしている。

歓喜天

歓喜天

大聖歓喜天は祟りをもたらす鬼王ビナヤキャが、十一面観音の化身であるビナヤキャ女神を抱くことによって仏法守護の神となったものである。

上の絵ではわかりにくいが、大聖歓喜天は、ビナヤキャ女神が鬼王ビナヤキャの足を踏みつけるお姿であらわされる。
「足を踏みつける」というのは、ビナヤキャ女神がその性的魅力で、鬼王ビナヤキャを骨抜きにすることの比喩的表現だろう。

御霊・・・神の本質・・・・・・・男女双体・・・大聖歓喜天
和魂・・・神の和やかな側面・・・女神・・・・・ビナヤキャ女神
荒魂・・・神の荒々しい側面・・・男神・・・・・鬼王・ビナヤキャ

⑤フギ&ジョカは大聖歓喜天の影響をうけている?

ちなみに、中国のフギ&ジョカは、手が繋がったお姿をしておられるが、大聖歓喜天の影響を受けているのかもしれない。
あるいは、フギ&ジョカの影響をうけて大聖歓喜天が出来た可能性もある。

大聖歓喜天は女神が男神をふみつけているので足がつながっているようにみえるが、フギ&ジョカは足のかわりに手がつながっていて夫婦和合を表しているのではないだろうか。

フギ&ジョカ

ジョカ&フギ(二神は兄妹で夫婦とされる。)

⑥道祖神は大聖歓喜天、フギ&ジョカの影響を受けている?

道祖神は中国の神で、日本に伝わり、日本では猿田彦とアメノウズメの男女双体の神として信仰された。

道祖神

道祖神は上の写真のように、手をつなぎ合うお姿であらわされることが多いが
これは手をつなぎ合っているのではなく、アメノウズメによって猿田彦の手が押さえつけられているの図ではないかと思う。

ニニギはサルタヒコに道案内されて葦原中国の日向の宮へと天下った。
その後、ニニギは天鈿女に『猿田彦を彼の故郷の伊勢へと送り届け、猿田彦の名前を伝えて仕え祭れ』と命じた。
ここから天鈿女は猿女君と呼ばれるようになった。
のちに猿田彦は伊勢の阿邪訶(あざか。現松阪市)の海で漁をしていた時、比良夫貝に手を挟まれて溺れ死んだ。
(古事記)

この神話について、私は次のように解釈している。

❶猿田彦
猿田彦は「高天原(天)から葦原中国(国)でを照らす神」と記述がある。
これにぴったりな神名を持つ神がいる。
天照国照彦火明櫛甕玉饒速日命(あまてるくにてる ひこ あめのほあかりくしみかたま にぎはやひ の みこと/ニギハヤヒ)である。
猿田彦とニギハヤヒは同一神ではないか。
また、女神のストリップダンスに興味を持つのは男神だ、よって女神・天鈿女のストリップダンスに興味を持って岩戸を出てきた天照大神は男神だとする説がある。天照大神を男神として祀っているところもある。
ニギハヤヒ(=猿田彦)が本当の天照大神ではないかとする説もある。

❷ 猿田彦の故郷は伊勢
伊勢には天照大神を祀る伊勢神宮があり、1の説を裏付けとなる。

❸ 猿田彦の名前を伝えて仕え祭れ
ニニギは天鈿女に「性的に猿田彦につかえよ」と命じたのではないか。

❹ 猿田彦は比良夫貝に手を挟まれて溺れ死んだ
 貝は女性器の比喩で、猿田彦は天鈿女のセックスに溺れて死んだということではないか。

道祖神は大聖歓喜天やフギ&ジョカの影響を受けていそうに思える。

⑦某伊織は鬼王ビナヤキャ、紫女はビナヤキャ女神のイメージ?

話をもとにもどそう。

燃灯祭の小松は男神(荒魂)、玉箒草は女神(和魂)で燃灯祭はこの二つをあわせることによって、荒魂を鎮める儀式なのかもしれない。

また某伊織は鬼王ビナヤキャ・紫女はビナヤキャ女神のイメージと重ねられているのかもしれない。

御霊・・・神の本質・・・・・・・男女双体・・・大聖歓喜天
和魂・・・神の和やかな側面・・・女神・・・・・ビナヤキャ女神・・・・紫女
荒魂・・・神の荒々しい側面・・・男神・・・・・鬼王・ビナヤキャ・・・某伊織

つまり女神はその性的魅力で男神を骨抜きにした上で、男神の血を吸って、男神の祟る力を弱めてしまう存在と言えるかもしれない。




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