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トンデモもののけ辞典㉓ 古空穂


古空穂

鳥山石燕『百器徒然袋』より「古空穂」

①妖怪・古空穂

うつぼ(靱、靭)とは、矢を入れて背負うための道具である。
上の鳥山石燕の『百器徒然袋』には、古空穂(ふるうつぼ)という名前で、うつぼに顔がついた妖怪が描かれている。

上の絵は画質が悪くてうつぼの形がよくわからない。
下の写真の弓矢をいれている道具がうつぼである。

utubo.jpg

下のリンク先のイラストは、もっと鳥山石燕が描いた「古空穂」に似ている。
https://sakura-paris.org/dict/%E5%BA%83%E8%BE%9E%E8%8B%91/prefix/%E9%9D%AB

解説文に「そそ野に命をいたづらに奈須野の原の野干(やかん)をいたる三浦の介(みうらのすけ)上総介(かずさのすけ)が古うつぼにや」はと記されている。

「そそ」には4つの意味がある。
❶女性の陰部。❷清らかで美しいさま。❸ かすかに吹く風の音。❹注意を促すときに発する声。そら。

❷か❸か❹の意味だと思う。

「奈須野の原」は「栃木県那須郡」、「野干」は「狐の別名」で、九尾の狐(玉藻前)の事と考えられている。

鳥羽上皇が寵愛した玉藻前は実は狐で、那須の地で討伐されて殺生石になったという伝説があるのだ。

化生寺 九尾の狐2


「そそ野命をいたづらに」は意味がわからない。
「奈須野の原の野干(やかん)をいたる三浦の介(みうらのすけ)上総介(かずさのすけ)が古うつぼにや」は
「那須のの九尾の狐(玉藻前)を射た三浦介・上総介の古いうつぼだろうか」という意味だろう。

室町時代の妖怪絵巻『百鬼夜行絵巻』には弓矢をかついだうつぼの妖怪が描かれているという。
たぶん、下記リンク先上部に描かれているのがうつぼの妖怪だろう。



⓶古空穂の正体は由岐明神(靭明神)?

「うつぼ」は別名を「やなぐい」「ゆき(漢字表記は靫・靭でうつぼと同じ)」ともいう。
そこで思い出すのは鞍馬寺の境内にある由岐神社である。
由岐明神は靭(ゆき)明神とも呼ばれているのだ。

由岐神社 割拝殿

古空穂の正体とは、この由岐明神は靭(ゆき)明神(靭明神)であるかもしれない。

939年ごろ、都は大地震にみまわれ、また天慶の乱が起きるなどした。
天慶の乱とは平将門の乱と藤原純友の乱のことで、同時期におきたので天慶の乱と総称されている。
また出羽で俘囚(朝廷の支配に属した蝦夷のこと)が反乱を起こしており、これも天慶の乱と呼ばれている。
939年は朝廷にとって大変な年だったのだ。

940年9月9日、朱雀天皇はそれまでは御所で祭っていた由岐明神を鞍馬に遷宮させた。
遷宮の理由として、939年におこったもろもろの悪いことを払拭するという意味合いがあったとする記事もあった。

由岐明神の遷宮の行列は無数の松明を携え、その行列は十町(約1キロ)に及んだ。
『鞍馬の火祭』はこの遷宮の様子を再現したものだといわれている。

鞍馬の火祭り

鞍馬の火祭 

③山中なのに船頭篭手?

上の写真の男性が腕につけているのは船頭篭手(せんどうごて)である。
船頭篭手は船頭の力強い腕力を表すために身に着けているとされるが、鞍馬は山なのに船頭というのは、違和感がある。

近くには鞍馬川という川が流れているので、川を渡る船の船頭さんだろうか?
鞍馬川は水量がそんなに多くないと思うのだが、保津川の急流下りをするような船が中世には鞍馬川を渡っていたのだろうか?

④由岐明神は藤原純友の乱平定を目的として遷宮された?

940年由岐明神が遷宮してきたのは9月9日だというが、9月9日は旧暦だろう。
これを新暦に直すと940年10月12日となる。

平将門は940年3月25日に討死し、由岐明神が鞍馬に遷宮してきたときすでに平将門の乱は鎮圧されていた。
しかし、このとき藤原純友の乱はまだ鎮圧できていなかった。

由岐明神を鞍馬に遷宮させたのは、由岐明神に立派な社殿を奉り、また都の東北におくことで鬼門封じとし、藤原純友の乱を鎮圧させようという呪術的な目的があったのではないかと思う。

⑤藤原純友は海賊の棟梁だった。

藤原純友は海賊の棟梁で、海賊を率いて乱を起こした。
当時の海賊がどのようないでたちをしていたのかわからないが、鞍馬の人々が祭礼で身に着けているような船頭篭手をつけていたのかも?

鞍馬の人々のいでたちは藤原純友率いる海賊のいでたちなのではないだろうか?

941年5月、朝廷の派遣した軍が純友軍を破った。
純友は小舟に乗って伊予に逃れたが、同年6月に捕らえられ、獄中で死亡した。

⑥由岐神社=靭明神は藤原純友?

靭が矢を入れる道具であることはすでに説明したが、ウツボという魚もいる。 
ウツボは凶暴な魚で『海のギャング』とも言われる。
ウツボは海賊の首領だった藤原純友のイメージにぴったりだと思うが、いかがだろうか?

魚のウツボは矢をいれる靭にもにている。
由岐神社=靭明神とは魚のウツボの神でもあり、藤原純友のことではないかと思う。

ウツボ

ウツボ

⑦日振島とウツボ

紀伊半島・四国・九州・沖縄ではウツボを食べるそうである。。
なかなか美味であるという。一度食べてみたい!

で、海のギャング=海賊の首領=藤原純友が本拠地としていたのは日振島である。

下は宇和海の地図である。
西には九州の大分県、東には四国の愛媛県がある。
地図上の宇和海という文字の下にwような形をした島が見える。これが日振島である。

日振島でもウツボを食べる食習慣があったことだろう。

 

⑧日振島は火振島?

日振島という地名の由来について、ウィキペディアには次のように記されている。

昔から船の往来があり、島民がたいまつの火を振ることで灯台の代わりをしたことに因む、との説がある。

もしかして、鞍馬の火祭で用いられるたいまつは日振島の島民たちが灯台がわりに振っていたたいまつがルーツなのではないか? 

⑨チョッペンはカシオペア座と日振島を表している?

終電に間に合わなくなっていまうのでやむなく帰宅したのだが、鞍馬の火祭では深夜チョッペンの儀が行われる。

チョッペンの儀とは二人の青年が脚を上向けに開脚して2つのV字形=W字形を作るというものである。
成人式の意味合いがあるなどと言われている。

 


日振島はwの形をした島である。


チョッペンの儀は日振島を表しているのではないだろうか。

またチョッペンや日振島はカシオペア座にも似ている。


カシオペア座

カシオペア座 

カシオペア座のWは向かって左側のVが広いのに対し、日振島のWは向かって右側のVが広くなってる。
上図のカシオペア座は地球上から空を見上げたときの形である。
星が天球に貼りついているものとして、天にいる神様が天球の上から眺めるとカシオペア座は日振島と同じように向かって右側のVが広い形に見えるはずである。

天球にはりついたカシオペア

⑩錨星(カシオペア座)が北斗七星をつなぎとめる。

古の日本では、カシオペア座は北極星より下にあってW字形のときは錨星、北極星より上にあってⅯ字形のときは山形星と呼ばれていた。

カシオペア座 錨星 山形星

カシオペア座 錨星 山形星 

錨とは綱や鎖をとりつけて海底や川底に沈めるもののことで、海賊の首領・藤原純友と関係が深そうに思える。

北斗七星 カシオペア

山形星(カシオペア座)と北斗七星

カシオペア座が錨星のとき、北極星を挟んだ上部には北斗七星がある。
錨星は北斗七星をつなぎとめているようにも見える。

⑪鞍馬七福神

鞍馬寺の山門をくぐるとケーブルカーがあって鞍馬山上の多宝塔前まで行けるのだが
ケーブルカーに乗らずに向かって左手の参道をのぼっていくと途中に由岐神社がある。
由岐神社からさらに参道をのぼっていくと「いのちの像」があり

鞍馬寺 命の像

鞍馬七福神 双福苑〈蛭子神・大黒天)

さらに参道を登っていくと、双福園(恵比須天・大黒天を祀る)・福寿星神祠(福禄寿・寿老人を祀る)・巽の弁才天社(弁才天を祀る)・弥勒堂(布袋尊を祀る)・開運毘沙門天祠(毘沙門天を祀る)が次々に表れる。
これらは鞍馬七福神と呼ばれている。

鞍馬七福神 双福苑〈蛭子神・大黒天)

鞍馬七福神 双福苑〈蛭子神・大黒天)

⑫鞍馬寺境内に北斗七星と錨星があった!

高田祟史さんは七福神は北斗七星として祀られ、北極星の周囲を永遠に回り続けるという呪術がかけられているとおっしゃっていた。
鞍馬七福神は北斗七星の神を祀っているのではないだろうか。

この鞍馬七福神の配置が北斗七星の形になっていたら面白いと思ったが、そうはなっていなかった。

しかし、星田妙見宮に祀られている北斗七星の神々も北斗七星の形には配置されていないので
北斗七星の形になっていないといっても、鞍馬七福神が北斗七星の神でないとはいえない。

宮星田妙見

※貪狼星・ 巨門星・ 禄存星・ 文曲・ 廉貞星・ 武曲星・ 破軍星の七つの星は北斗七星の神。

七福神信仰は由岐明神が遷宮された940年にはまだなかったかもしれない。
しかし古より北極星や北斗七星に対する信仰があった。
鞍馬寺には古より北斗七星に対する信仰があったのではないだろうか。
そしてその北斗七星に対する信仰を受けて、鞍馬七福神は作られたのかもしれない。


由岐神社=カシオペア
鞍馬七福神=北斗七星
とすると上の境内図の⑱「いのちの像」は北極星を表し、ているのかも?

「いのちの像」は鞍馬寺の御本尊・尊天(宇宙のエネルギーを象徴する神)をあらわすものとされる。

いのちの像は由岐神社と鞍馬七福神をつなぐ場所にあり、なによりこの3つの輪がついたこの形・・・。
全ての星は北極星を中心にして回る。
まるで北極星には宇宙を回転させるパワーがあるかのようだ。
いのちの像とは北極星の像であり、須弥山(かな?)にかかる3つの輪は宇宙を回転させるパワーのように見えてくる。

鞍馬の火祭り2

鞍馬の火祭





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