①「狐の嫁入り」2つの現象
京都・ねねの道を行く怪しげな行列に遭遇した。
東山花灯路 狐の嫁入り行列
人力車に白無垢を着た狐さんが乗っている。狐の嫁入行列だ!
東山花灯路 狐の嫁入り行列2
「狐の嫁入り」と言われる現象には2通りの意味がある。
①行列のように見える無数の怪火
⓶天気雨(日が差しているのに、雨が降る現象)
⓶狐の嫁入りは燃える石油?
宝暦年間(1751年~1764年)に記された地誌『越後名寄』には次のような記述があるそうである。
夜何時(いつ)何處(いづこ)共云う事なく折静かなる夜に、提灯或は炬の如くなる火凡(およそ)一里余も無間続きて遠方に見ゆる事有り。右何所にても稀に雖有、蒲原郡中には折節有之。これを児童輩狐の婚と云ひならはせり
現代語訳/
夜、いつどこともいうことなく、静かな夜に、提灯または炬(たいまつ)のようなものが、1里以上もたえまなく続いているのが遠方に見えることがある。
これはまれに稀にありといえど、蒲原郡中にはときどきこれがある。
これを児童輩(意味わからず)狐の婚と言い習わしている。
(現代語訳まちがっているかも 汗)
越後国とは、現在の新潟県のことだ。
新潟県は古くから石油や天然ガスの産地だった。
「日本書紀」天智 天皇の7年(668年)の記事に 「越国、燃ゆる土燃ゆる水を献ず」とある。
燃える土、燃える水とは石油のことだと考えられている。
狐火は雨の日に出現するといわれるが、油に水をかけるとよけいに勢いよく燃える。
なので天ぷら油や石油ストープが燃え上がっていても、決して水をかけてはいけないのだという。
狐火が石油だと考えると、雨の日に出現する理由が説明できないだろうか。
⓶世界中にある天気雨を動物の結婚と結びつける信仰
もうひとつの狐の嫁入り、天気雨についても考えてみたい。
似たような話は、海外にもあるようで、次のように記した記事もある。
さらに面白いことに、天気雨に関する俗信は世界各地に存在するようだということ。
代表的なものは天気雨と動物の結婚を結びつけるもので、日本の「狐の嫁入り」のほか、アフリカでは猿やジャッカル、アラビア語圏の一部では鼠、ブルガリアの一部では熊、大韓民国では虎が結婚するとされる。
イタリアのカラブリア州・サレント半島やイギリス南西部では日本と同じく狐が結婚するといわれているようだ。
③狐が雨を降らせるという信仰
レファレンス協同データベースに引用文として、次の様に記されている。
【キツネの嫁入り行列】の由来!太田版」に次の記述あり。
「昔から、讃岐平野は月夜に枯れる(田の水が干上がる)と言われる水不足に悩む土地柄です。ところが、太田辺りでは、雨乞い行事もしないで水の取り合いばかりしていたのです。それを見るに見兼ねたキツネが【嫁入り行列】という雨乞いをして、雨を降らせたのです。
この行列は、日が照りながら雨が降るような時、蓮池のお地蔵さん付近から野田池に向かって眩しい光を放ちながら進んでいったのです。・・・(太田地区コミュニティ協議会(太田コミュニティセンター)
どうも狐は雨を降らせる動物だと考えられたようである。
④狐は誰と結婚するのか
狐は、誰と結婚するのだろうか。
下の記事は、ソースがわからないので信憑性にややかけるが、
雨の神である狐が、太陽神のもとに嫁ぐ(生贄になる)という意味で、天気雨を狐の嫁入りと言っているようである。
ずっと雨が降らない村が狐をいけにえにして雨を降らそうと、男前の村人が狐の娘を騙して嫁入りさせようとする。途中、狐の娘を気に入ったその男は、「これは罠だから逃げて!」というのだが、狐はその男が好きだったので、「いいんです」と人間の娘に化けてそのまま嫁入りをし、村人たちにいけにえにされた。すると晴れている空から大粒の雨が降ってきた。
東山花灯路 狐の嫁入り行列
陰陽では晴が陽で、陰が雨。
雨の神である狐が、旱魃をもたらす太陽のもとに嫁いで雨を降らせる。
そういう状態が天気雨であると考えられたのではないだろうか。
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