太陽の木 と 月の木⑩ 岩戸落葉神社は冬至に関係する神社?
①冬至に関係する神社
もともとここには落葉社が鎮座していた。
近世、岩戸社をここに遷宮させて、岩戸落葉神社と呼ばれるようになったという。
そのため境内には岩戸社・落葉社のふたつの本殿がある。
この岩戸社と落葉社はどちらも冬至に関係する神社だと思う。
⓶天岩戸神話は、冬至の衰えた太陽が再び復活することを意味している?
岩戸社の御祭神は彌都波能賣神(みづはのめのかみ)、稚日女神(わかひめのかみ)、瀬織津姫神(せおりつひめのかみ)である。
このうちの稚日女神は、スサノオが馬の逆剥ぎを高天原の斎服殿(いみはたどの)に投げ込んだとき、これに驚いて持っていた梭(ひ)で身体を刺して亡くなった女神である。
この事件にショックを受けた天照大神は天岩戸に隠れてしまう。
稚日女神という神名は「若く瑞々しい日の女神」という意味で、天照大神は別名を大日女(おおひるめ)というので、
稚日女とは天照大神自身、または天照大神の幼名とする説がある。
稚日女とは天照大神自身、または天照大神の幼名とする説がある。
そして天照大神が天岩戸にこもったという伝説が何を表すのかについて、ふたつの説がある。
①日食をあらわす。
②冬至に向かって勢いが衰えた太陽が、冬至を境に再び勢いを増していく様をあらわす。
大阪の枚岡神社では、冬至のころ「お笑い神事」を行っている。
新しくかけなおした注連縄の前で、神職さん、巫女さん、氏子さん、一般の参拝者も並んで「わっはっは」と笑うという神事である。
枚岡神社 お笑い神事
天照大神が天岩戸にこもって、世の中が真っ暗になってしまったとき
天岩戸の前で、アメノウズメがストリップダンスをし、それを見ていた神々が笑った。
天照大神はその笑い声を聞いて「何を笑っているんだろう」と思い、少し天岩戸をあけたところを引っ張り出され、再び世の中に太陽の光がさすようになった。
「お笑い神事」はこの神話を再現したものといわれている。
この神事はもともとは冬至の日におこなっていたそうで、
この神事はもともとは冬至の日におこなっていたそうで、
天照大神が天岩戸にこもったという神話は
②の「冬至に向かって勢いが衰えた太陽が、冬至を境に再び勢いを増していく様をあらわす。」が正しいのではないかとも思える。
②の「冬至に向かって勢いが衰えた太陽が、冬至を境に再び勢いを増していく様をあらわす。」が正しいのではないかとも思える。
(※私は①②の両方をあらわしていると考えているが、それについては機会をみて別稿に記したいと思う。)
③岩戸神社が、公孫樹の巨木のある落葉神社に遷宮された理由
岩戸落葉神社のイチョウの樹齢は不明だそうだが、巨木なので古くから落葉社の御神木として植えられていたのだろう。
私はイチョウという名前は『一陽来復』の『一陽(イチヨウ)』からくるのではないかと考えている。
『一陽来復』とは『冬が終わり春が来ること』や『冬至』を意味する言葉である。
『一陽』とは『たったひとつの太陽』という意味だろうか?
陽は太陽のことで間違いないだろうが、一は斎など、別の意味かもしれない。
いずれにせよ、イチョウとは『一陽の木』という意味だろうと思う。
日本では太陽はなぜか赤で描かれることが多いが、太陽の色は本当は黄色である。
高松塚古墳やキトラ古墳の日像は金色(黄色)で描かれている。
イチョウの黄色い葉は太陽の光に見立てられているのだと思う。
この黄色い葉っぱは秋のはじめごろはたくさん木についているのだが、徐々に散っていき、木についた葉の数はどんどん減っていく。
これは冬に向かって衰えていく太陽のようではないか。
そして最も太陽の光が衰える冬至のころにはすっかり落葉してしまっているというわけだ。
落葉社は源氏物語に登場する朱雀帝の第二皇女「落葉の宮」を御祭神としているが、
この落葉の宮は冬至に向かって衰えていく太陽に喩えられていたため、落葉神社の御神木がイチョウになっているのだと思う。
そして、天岩戸神話が冬至の太陽を擬人化した物語だということで、岩戸社がこの公孫樹のある場所に遷宮されたのではないだろうか。
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