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惟喬親王の乱⓶法隆寺 『救世観音は聖徳太子の怨霊封じ込めの像?』


トップページはこちらです→惟喬親王の乱① 東向観音寺 『本地垂迹説』  
惟喬親王の乱① 東向観音寺 『本地垂迹説』  よりつづきます~

 「小野小町は男だった」もよかったらよんでみてね。

法隆寺 西院伽藍 夕日

法隆寺西院伽藍 

①上宮王家断絶

601年、聖徳太子は斑鳩宮を建て、その宮の近くに法隆寺(奈良県斑鳩町)を創建したと伝えられる。
622年、聖徳太子が死亡したのち、蘇我蝦夷・入鹿親子が政治の実権を握るようになる。
643年、蘇我入鹿は巨勢徳多、土師娑婆連、大伴長徳らに命じて聖徳太子の長子・斑鳩宮の山背大兄王を襲撃させた。
山背大兄王は一族と家臣をひきつれて生駒山に逃亡した。
山背大兄王の寵臣・三輪文屋君は、『東国に逃れて再起を期し、入鹿を討ちましょう。』と進言した。
しかし、山背大兄王は
『兵を起こせば入鹿に勝てるだろう。しかし、私ひとりのために多くの百姓を犠牲にしたくはない。私の命など入鹿にくれてやろう。』と言い、斑鳩寺に戻った。
そして一族もろとも首をくくって自害した。
こうして上宮王家は断絶した。

聖徳太子は今でも多くの日本人に尊敬されているが、我々日本人の血の中に一滴も聖徳太子の血は流れていないと考えられるだろう。

⓶法隆寺は『聖徳太子の怨霊封じ込めの寺』by梅原猛

梅原猛氏は聖徳太子は怨霊で、法隆寺は『聖徳太子の怨霊封じ込めの寺』ではないか、と説かれた。
なぜ聖徳太子が怨霊になったのかというと、彼の子孫が断絶したためであるという。

怨霊とは政治的陰謀によって不幸な死を迎えたもののことで、古には天災や疫病の流行は怨霊の仕業で引き起こされると考えられていた。

前回の記事、惟喬親王の乱① 東向観音寺 『本地垂迹説』  でも述べたように
このような怨霊は祟らないように神として祀られ、また神仏習合してみほとけになったとも考えられたようである。

③聖徳太子は祀るべき子孫が断絶して怨霊になった?

井沢元彦さんは次のようなことをおっしゃっていた。
先祖の霊は子孫が祀るべきとされているのに聖徳太子の子孫は断絶してしまい祀る人がいなくなってしまった。
それで聖徳太子は怨霊になったのではないかと。

念のため書き添えておくが『聖徳太子は怨霊になった』と書いたが、もちろん本当に聖徳太子が怨霊になったというわけではない。
昔の人々が『聖徳太子は怨霊になった』と考えたということである。

法隆寺 中門と五重塔   

④閂がかけられた法隆寺中門


上の写真は法隆寺の中門と五重塔である。
法隆寺の中門は、中央に柱があるという珍しい造りになっている。
(一般的な門は中央に柱があるという造りにはなっていません。)

梅原さんは『門に棒を建てると閂になる』として聖徳太子の怨霊が外に出ないようにする呪術的な装置ではないかと説かれた。

 法隆寺 夢殿
夢殿

⑤ミイラ男状態だった救世観音

法隆寺の夢殿の扉をあけると大地震がおこると言い伝えられ、夢殿の扉は長年鍵がかけられたままの状態になっていた。
明治時代、アメリカの東洋美術史家であるフェノロサによって夢殿は開扉された。
このとき僧侶たちは大地震を怖れて逃げていったと伝わるが、事実かどうかわからない。
話をドラマチックに仕立てるための脚色の様にも思える。

それはともかく、地震はおこらなかった。
そして夢殿の中からミイラ男のように包帯状の細長い布でぐるぐる巻きにされた仏像が発見された。
『聖徳太子等身大の像』と伝わる救世観音である。
救世観音の光背は頭に直接釘で打ち付けられていた。


GUZE Kannon Horyuji

法隆寺 救世観音
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:GUZE_Kannon_Horyuji.JPG
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/e/e8/GUZE_Kannon_Horyuji.JPG
作者 Tokyo Bijutsu Gakko [Public domain], ウィキメディア・コモンズ経由で




光背は仏の足元に棒を立ててその棒にとりつけるのが一般的で、救世観音のような様式は珍しい。
これについても梅原氏は怨霊封じ込めの呪術であろう、と説かれた。
法隆寺金堂の四天王像も光背が頭に直接釘でとりつけられ降り、法隆寺では後ろから見ることはできないが
奈良国立博物館の法隆寺展で実際に見ることができた。

法隆寺 夕景 

惟喬親王の乱③木地師の里 『世継争いに敗れた皇子』  に続きます~

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