男性が女性を所有する文化って具体的にはどんな文化?
言ってもいないことを、主観で決めつけて事実のように話すのは『嘘』
上記記事では、武田氏の次のような論法について批判した。
武田氏は他人の顔つきや態度から他人の心情を決めつけて批判している。
よくない態度、人を不快にさせる態度というのはあると思うが、それでは具体的にどういう態度であったかという説明が必要である。
しかし、武田氏は具体的な説明をせず、
「俺達のやることは正義なんだ。」「お前らバカなんだから」「公金を使って展示して何が悪い」というような態度
と言っている。
「~のような態度」と言っているところから判断して、批判している相手が実際に「俺達のやることは正義なんだ。」「お前らバカなんだから」「公金を使って展示して何が悪い」などと発言したわけではないのだろう。
武田氏がそう思った、というだけのことである。
批判された相手としては、言ってもいないことを批判されても、困るだけである。
今回の動画ではこんなご発言をされている。
5:35あたり
「中国・ヨーロッっていうのは男が女を所有する文化ですから男は女に飯をつくれ、といって作らせるというのが欧州中国スタイルですね。
日本は女性のほうに全権がありまして男は農事記録文書の作成の3つしかできないというのが、日本の社会の原則でした。」
6:40あたり
「全権があるというのがどういうことかというと女性は何でもやっていい。一番そのころ大切なのは家庭ですからね。
食事をつくる。子供を育てる。家庭を守る。洗濯をする。縫物をするってことで最低の生活が全部確保できる。
これは全部女性の権利で、あとはまあ小説を書くとか飾り物をするとか 日常の生活は全部女がすると
女が権限を持っている。 義務じゃない。」

①男が女を所有する文化とは何かについての説明がない。
武田氏は「中国・ヨーロッパは男が女を所有する文化」と言っているが、「男が女を所有する文化とは何か」についての説明がない。
言葉の定義を定めずに話すのは武田氏の悪いクセである。
言葉の定義を定めてから話すべきである。
また具体例を示して話をするべきだが、具体例を出さないことが多い。
「武田氏は男は女に飯をつくれ、といって作らせると具体例を出しているじゃないか」と言われるかもしれないが、
中国やヨーロッパの男性の何パーセントが妻に対してそういう発言をしているのか。
そんなプライベートな内容の統計があるとも思えないし、武田氏も統計を提示したりもしていない。
武田氏が根拠なく決めつけているだけではないだろうか?

②男が女を所有するとは人身売買のことか?
一般に人が人を所有するということは、富裕な人が奴隷などを所有することを言うと思う。
奴隷は人権をもたない物であり、物であるので売買の対象となった。また強制労働を強いられた。
そういう意味では、過去には日本でも人身売買が行われており「男が女を所有する」ことはあったといえる。
幕府は人身売買を禁じていたが、実際には、女衒(ぜげん)と呼ばれる“人買いに親が娘を妻を売ることがあったようである。
その例として「からゆきさん」がある。
明治ごろ、貧しい家庭に生まれた娘は、嬪夫(斡旋業者)・女衒たちの仲介によって海外に渡航し、奉公することがあり
これを「からゆきさん」といった。
親は娘を奉公に出したのち、仲介業者から金を受け取った。(つまり身売り)
奉公といっても、からゆきさんたちが勤めたのは売春宿である。
売られるのは娘であることが多かったようだが、男(父親)が女(娘)を売ったことはまちがいない。
やむない事情があってのことだと思うが、
父親が娘を売って代金を受け取ったということは、娘は父親の所有物だということになる。

③欧米も日本も男尊女卑の考え方があった。
「欧米が男が女を所有する文化」について次のような説明をする人が結構いる。
聖書は神の姿に似せてアダム(男)を作り、アダムの肋骨からイブ(女)を作ったとしている。
だからキリスト教徒の多い欧米は男尊女卑世界であると。
この説明はだめだ。
なぜならば聖書の物語というのはフィクションであって、事実ではないからである。
そして、聖書にあることが描かれているということと、リアルの世の中は別のものである。
リアルな世の中でおこった出来事や習慣をベースにして語らなければ、導き出した結論が正しいとはいえない。
聖書に書いてある=現実の世の中も同じ・・・・✖
またキリスト教は男尊女卑だといわれるが、日本で広く信仰されていた仏教も男尊女卑である。
たとえば、スッタニパータに次のようにある。
835.
「私は嘗て『渇望』と『不満』と『貪欲』と(いう女)を見たが
それと一つになろうとは決して思わなかった
この尿と糞とに充ちた汚いもの それが一体何であろうか
私は足でそれに触れようとさえ思わない」
○中村元先生訳
https://76263383.at.webry.info/201503/article_27.html より引用
中世の地獄絵には筍を探し続ける地獄が描かれており、子供を産まない女性がおちるとされていた。
なんで筍を探し続けるのかといえば、竹は種子ではなく地下茎で増えるからということである。

④「大きな歴史」という概念からくる考え方の間違い
文化の比較をする場合、当然、比較する文化について深く掘り下げて知識をえることが必要である。
武田氏はそういうことをやっていないと思う。
もし様々な文化について深く掘り下げて知識を得ているのであれば、実例をあげて話をすることができるはずである。
武田氏がこういった間違った結論を導き出すのは氏がよく言っている「大きな歴史」に問題があると思う。
「大きな歴史」というと聞こえはいいが、それは「浅い知識で語る歴史」とイコールなのである。
大きな歴史=浅い知識で語る歴史
男尊女卑についても、スッタニパータの文や、地獄絵等、細かな知識をもっていなければ語ることはできない。
現在ではネットでぐぐるとかなりの情報がでてくるので、動画の更新頻度を下げてでも知識の補充に努めたほうが内容の濃い動画になると思う。

⑤武田氏は「所有(強制)」「権利」などの言葉の概念を持て遊んでいるだけでは?
武田氏発言をまとめると次のようになると思う。
中国・ヨーロッパ・・・・男は女に飯をつくれ、といって作らせる。(強制)
日本・・・・家事は女性の権利で、義務じゃない。(権利)
中国・ヨーロッパは女性の家事は強制、日本では女性の家事は権利であると武田氏は言っているのだ。
女性が家事をするというのは中国・ヨーロッパ・日本でも同じということである。
①で武田氏が「所有」という言葉の定義や実例、統計をあげていないことを指摘したが
武田氏は、権利や強制という言葉の定義、実例、統計もあげていない。
言葉の定義がなく曖昧だと、どんな風にでもいえるわけで、こういうのは科学的であるとはいえない。
実際に犯罪をおかした証拠がない人に対して、犯罪者であるというレッテルを貼るようなものである。
ある人を犯罪者と認定するためには、その人がどのようなことをして、それがなぜ罪にあたるのかという理由が必要である。
中国・ヨーロッパ・日本とも、女性が家事をしていたという点は同じである。
武田氏は「強制」「権利」などの言葉の概念を持て遊んでいるだけ のように思える。

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