蛙と髑髏 (金峯山寺 蛙跳神事)
舞妓らが浴衣姿で芸向上祈る
上記記事によれば、祇園の芸妓さん、舞妓さんたちが7月7日、八坂神社を詣でて芸の向上と無病息災を祈る「お千度」という行事が行われたそうである。
芸妓さん、舞妓さんたちは柳とカエルを描いたそろいの浴衣を着ていた、という点に興味をひかれた。
七夕と蛙は関係が深いのである。
七夕の日、金峯山寺蔵王堂において蛙跳神事が行われた。
大きな蛙の面を被った人が四つん這いになってぴょんぴょんと跳ぶのを見て、私は思わずつぶやいた。
「空飛ぶ髑髏だ!」
飛鳥の亀石は亀ではなく蛙であるとも言われている。
上の写真は妖怪ストリート(京都一条 大将軍商店街)の店先に置いてあった妖怪「ぬらりひょん」の人形である。
ぬらりひょんの異様に大きな細長い頭部は亀石にそっくりである。
眉間に半月形の皺があるところまで同じである。
世界中に頭部を細長く頭蓋変形する習慣があり、現在でも頭蓋変形を行っている民族もいる。
ウィキペディアの「頭蓋変形」のページに頭蓋変形を受けたインカの頭蓋骨の写真がある。
亀石はこの頭蓋変形を受けた頭蓋骨にもそっくりである。
また、平将門の首塚には蝦蟇(蛙)の置物がたくさん奉納されているが、平将門の首は京で晒されたのち東に向かって飛んだという伝説がある。
蝦蟇の置物が奉納されているのは「無事帰る」の語呂合わせだと言われているが、私は蝦蟇(蛙)の形が頭蓋骨に似ているからではないかと考えている。
蛙跳び神事が終わり、付近を散策していたところ「脳天大神→」と記された看板を見つけた。
脳天大神というネーミングにひかれ、→の方向に向かって谷をおりていくと谷底に脳天大神があった。
そこに狛犬のかわりに置かれてあったのは、なんと狛蛙だった。
脳天大神は金峯山寺の塔頭で正しくは龍王院といい、蔵王権現の化身である頭を割られた蛇を祀ったのだという。
そして首から上の守護神として信仰されている。
その脳天大神に狛蛙が置かれているのはなぜなのだろうか。
それはやはり蛙=蝦蟇は頭蓋骨を比喩したものだからなのではないだろうか。
かつてお盆は7月15日を中心とした行事で7月7日の七夕はもともとはお盆の行事だった。
お盆にはあの世から先祖の霊が戻ってくると考えられていた。
言い換えれば、お盆とは先祖の霊が復活する季節だということである。
江戸時代に弾圧を受けて消滅したとされる真言宗の一派に立川流があった。
立川流では髑髏に漆や和合水を塗り重ねて髑髏本尊を作り、これを袋に入れて7年間抱いて寝ると8年目に髑髏本尊が命を持って語りだすと信仰されていた。
「髑髏本尊が命を持って語りだす」ということは「髑髏が復活する」ということであり、復活に髑髏はかかせない呪具だと考えらえていたのではないだろうか。
金峯山寺蔵王堂・龍王院/奈良県吉野郡吉野町吉野山
蛙跳神事/7月7日
蛙跳神事/7月7日
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