ミシャグジ様の謎② 太陽と月が結婚すると星の神になる?
ミシャクジ様の謎① 昔の人は岩を落ちてきた星だと考えた? よりつづきます~
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日牟禮八幡宮
①ニギハヤヒは太陽神?それとも星の神?
前回私は、次のように述べた。
物部氏は製鉄・鋳造の技術に長けており、そのため物部氏の神は星の神だとする説がある。
また雲陽誌という書物には次のような内容が記されている。
「島根県松江市の松崎神社では延宝7年に石が 掘り出され、古語『星隕って石となる』から神・ニギハヤヒの石として宝物にした。
ニギハヤヒは星の神。」
これに対して、こんな反論があるかもしれない。
ニギハヤヒは先代旧事本記では天照国照彦火明櫛玉饒速日命(あまてるくにてるひこあまのほのあかりくしたまにぎはやひのみこと)と表記されている。
一方、天照大神は男神とする説がある。
天照大神は女神であるアメノウズメのストリップダンスに興味を持って天岩戸からでてきた。
女神のストリップに興味を持つのは男だ。よって天照大神は男だとする説がある。
そして天照国照彦火明櫛玉饒速日命が本当の天照大神ではないかともいわれている。
するとニギハヤヒは太陽神だ。星の神ではない。
祇園祭 岩戸山 ご神体の天照大神は男神だった。
ニギハヤヒは太陽神。
実はこれは私自身が別ブログ「心の旅」などでさんざん書いてきたことなのだ。
しかし雲陽誌には「ニギハヤヒは星の神」と書いてある。
ニギハヤヒは太陽神なのか、それとも星の神なのか。
結論からいうと、ニギハヤヒは太陽神、アメノウズメは月神、ニギハヤヒとアメノウズメの男女双体の神が星の神だと私は考えている。
今回と次回、2回にわたり、その理由を説明していきたいと思う。
②伏義は太陽神、女媧は月の神?
中国に伏義と女媧という兄妹で夫婦でもある神がいる。
五盔墓4号墳の壁画は、伏義が持ち上げている円の中に八咫烏が、女媧が持ち上げている円の中にはヒキガエルが描かれている。
八咫烏は太陽の中に、ヒキガエルまたはウサギは月に住むと考えられてた。
五盔墓4号墳の壁画を見ると、伏義は太陽の神、女媧は月の神のように思われる。
薬師寺 日の出
薬師寺 月
③伏義は地の神、女媧は天の神?
ところがウィキペディアの伏義と女媧の図を見てみると、伏義は手に直角定規を、女媧は手にコンパスを持っている。
伏羲女媧
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Anonymous-Fuxi_and_N%C3%BCwa3.jpg
よりお借りしました。
中国では天円地方といって、天は丸、地は四角だと考えられていた。
するとコンパスは丸を描く道具なので天を、直角定規は四角を描く道具なので地をあらわすということになる。
女媧は天の神、伏義は地の神ということだろうか。
②で伏義は太陽神、女媧は月の神ではないかと書いた。
ということは、伏義は地の神&太陽神であり、女媧は天の神&月の神ということだろうか。
しかしこれは陰陽思想から考えると、少しおかしい。
というのは、陰陽では天は陽で地は陰、太陽が陽で月が陰、男が陽で女が陰なのだ。
なぜ陽の存在である男神の伏義が地を意味する直角定規を、陰の存在である女神の女媧が天を表すコンパスを持っているのか?
天地 | 日月 | 男女 | |
陰 | 地(四角/直角定規) | 月 | 女(女媧) |
陽 | 天(丸/コンパス) | 日 | 男(伏義) |
しかしこの疑問についてはいったんおいておくことにして、先へ進もう。
④太陽が逆に回って月を捕まえる現象は日食を表している?
伏義と女媧には次のような伝説がある。
女媧は木の周囲を回って逃げ、伏羲はあとを追ったが、なかなか女媧を捕まえることができなかった。
そこで伏義はいったん止まり、逆に廻って妹を捕まえ、二神は結婚した。
やがて女媧は出産したが、それは肉塊だった。
その肉塊を切り刻んだところ風が吹いて肉が飛び散り、人間となった。
伏義は陽、女媧は陰の神だと考えられるが、伏義は太陽神、女媧は月神であるとも考えられる。
太陽(伏義)が月(女媧)を捕まえられないのは当然だ。
太陽が月を捕まえるとは、太陽と月が重なること、日食のことだろう。
古代中国では紀元前4世紀の天文学者・石申が月と太陽の相対位置から日食を予測する方法を説いている。
日食とは太陽と月が重なっておきる現象であるということは古くから知られていたのだ。
伏義はいったん止まり、逆に廻って妹を捕まえたとあるが、太陽は止まることはないし、逆に廻ることはない。
これは目の錯覚を表現したものではないだろうか。
太陽や月は東から西に進むが、日食の影は西から東に進むので、太陽が逆に廻ったように錯覚したのではないか。
⑤太陽と月が重なるとき、神格が逆になる?
私はそう考えて、日食の動画を探してみたところ、次の動画が見つかった。
↓ こちらの動画を見ると日食の影が西から東へ(右上から左下へ/南の空なので右が西で左が東)進んでいくのがわかる。
私はさきほど、『太陽や月は東から西に進むが、日食の影は西から東に進むので、太陽が逆に廻ったように錯覚したのではないか。』と書いた。
しかし、上の動画を見ると西から東へ進んでいるのは太陽というよりは月のほうのように見える。
そこで③の疑問に戻ろう。
なぜ陽の存在である男神の伏義が地を意味する直角定規を、陰の存在である女神の女媧が天を表すコンパスを持っているのか?
男神である伏義は陽の神であり、天の神、日の神でもある。
女神である女媧は陰の神であり、地の神、月の神でもある。
しかし、陰の神と陽の神が重なるとき、陰陽が逆転する。
つまり太陽の神である伏義は月の神に、月の神である女媧は太陽の神に神格を変える。
そう考えると、陽の存在である男神の伏義が地を意味する直角定規を、陰の存在である女神の女媧が天を表すコンパスを持っている理由の説明がつくと思うがどうだろうか?
⑥太陽と月が結婚すると星の神になる?
そこでもう一度伏義と女媧の絵を見ほしい。
上中央には菊の紋のようなものが、下中央にはクロワッサンのようなものが描かれている。
菊の紋のように見えるのは太陽、クロワッサンのように見えるものは月ではないだろうか。
そして伏義(太陽)と女媧(月)が蛇身の下半身をからませあい、その周囲にはたくさんの星が描かれている。
これは日食のようすを描いたものではないだろうか。
2012年の金環日食では、かなり暗くはなったが、、夜のように真っ暗にはならなかった。
しかし皆既日食では日没後20分から30分くらいたった程度に暗くなり、明るい星であれば観測されるそうである。
「やがて女媧は出産した」とあるが、女媧が生んだものとは、日食がもたらすものことだと思う。
日食の結果、闇が生じて星が見える。
「その肉塊を切り刻んだところ風が吹いて肉が飛び散って人間となった。」
とあるが、夜空にきらめく無数の星は、切り刻んだものが飛び散ったかのように見える。
死んだ人の霊は星になると考えられていたのではないだろうか。
お盆の習慣が生じたのは、ベルセウス座流星群が流れる様子を見て、先祖の霊が帰ってくると、古の人々が考えたためだと思う。
「肉塊を切り刻んだところ風が吹いて肉が飛び散って人間となった。」というのは、人間は人間でも死んだ人間の霊=星のことを言っているのではないか。
金環日食(2012年)
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