スサノオは星の神だった?
薬師寺 西塔と東塔の間に興福寺の五重塔、写真左端に東大寺大仏殿が見えている。
薬師寺の金堂にはブロンズの薬師三尊像が安置されている。(写真→☆)
薬師三尊像とは中央に薬師如来、薬師如来の左手(向かって右)に日光菩薩、薬師如来の右手(向かって左)に月光菩薩を配置する形式のことである。
薬師如来は南向きに安置されているので、薬師如来の左の日光菩薩は東に、薬師如来の右の月光菩薩は西に安置されていることになる。
この薬師三尊像の配置は、陰陽道の宇宙観を表したものだと思う。
陰陽道では、東を太陽の定位置、西を月の定位置、中央は星とする
のだと聞いたことがある。
すると、中央の薬師如来は星の神なのではないだろうか。
また、この薬師三尊像や陰陽道の宇宙観から、、記紀(古事記と日本書紀)にある天照大神・月読命・スサノオ誕生のシーンを思い出す。
黄泉から戻ったイザナギが禊をし、左目を洗ったところ天照大神が、右目を洗ったところ月読命が、鼻を洗ったところスサノオが生まれたとある。
(※地図では左が西で右が東だが、地図の側にたてば、左が東で右が西になる。)
天照大神は太陽神、月読命は月神である。
ところが、スサノオだけは神格がはっきりしない。
イザナギはスサノオに「大海原をおさめよ」と命じている。
ここから、スサノオは海の神だと考えられ、海神(わだつみ)と同一視されている。
かと思えば、根の国(地獄のような死後の国)の王として登場することもある。
船場俊昭氏は「スサノオ(素戔嗚尊)とは輝ける(素)ものを失い(戔う/そこなう)て嘆き悲しむ(鳴/ああ)神(尊)」という意味で、はもとは星の神であったとしておられる。
とすれば、陰陽道の宇宙観、薬師三尊像の配置、記紀の天照大神・月読命・スサノオ誕生の記述はすべて矛盾なく合致する。
左・・・・太陽・・・日光菩薩・・・天照大神(左目から生まれた。)
右・・・・月・・・・・月光菩薩・・・月読命(右目から生まれた。)
中央・・・星・・・・ 薬師如来・・・スサノオ(鼻から生まれた。※鼻は顔の中央にある。)
現在、スサノオには星の神という神格がなく、海の神または根の国の神だと考えられているが、海の神というのは星の神の二次的な神格であると考えられる。
星は太陽や月と違って毎日同じ方角から出て同じ方角に沈むので、航海の指標とされていたためである。
VOL.23: 航海カヌー〈ホクレア〉の誕生 :その4~星の航海術
↑ こちらの記事には次のように記されている。
『昼間であれば太陽の位置によって方角がわかります。夜であれば、それは星の位置によって知ることができます。北半球にいる限り、北極星さえわかれば北がわかり、その高さによって緯度もわかる。あとはどの星がどこから昇ってくるか、あるいは沈むのか、その位置によって東西の経度がわかります。その指標となる星がいくつかあり、それを徹底的に覚え、その組み合わせから、現在、カヌーのいる位置を正確に割り出すわけです。』
上記サイトより引用。
スサノオは星の神という神格を奪われた神だと考えられるが、なぜ星の神という神格を奪われたのだろうか。
中国では天帝を祀るのは皇帝の義務だとされていた。
つまり、天帝は皇帝よりも偉大な存在である。
この天帝とは北極星のことであるとも、天そのものを神格化した神であるとも考えられていたようである。
スサノオは星は星でも天の中心にある北極星=天帝であると考えられていたのではないだろうか。
あるいは天にあるすべての星を抱く天そのものがスサノオであったのかもしれない。
天帝は中国の皇帝が祀る偉大な神である。
天皇家の祖神は太陽神・天照大神とされているが、スサノオが天帝であるとすると天照大神はスサノオよりも格下ということになってしまう。
それではまずい、ということで星の神は抹殺されたのではないだろうか。
初代神武天皇が日向より東征の旅に出立する際、シオツチの翁が「東にはすでにニギハヤヒが天の磐船を操って天下っている」と発言している。
ニギハヤヒは物部氏の祖神である。
ここから畿内には神武以前、物部王朝があったとする説がある。
東征して畿内入りした神武は地元の豪族であるナガスネヒコと戦った。
ナガスネヒコはニギハヤヒを神として奉じていたのだが、ニギハヤヒによって殺されたと記紀には記されている。
ニギハヤヒはナガスネヒコを見捨てて神武に服したということだろう。
『雲陽誌』という書物によれば、ニギハヤヒは星の神であると記述がある。
また、ニギハヤヒが天の磐船を操って天下った場所とされる磐船神社(大阪府交野市)近辺を流れる川は「天の川」といい、星田、星が丘など星のつく地名が多い。
スサノオとニギハヤヒは同一神なのではないかと思ったりもする。
薬師三尊像とは中央に薬師如来、薬師如来の左手(向かって右)に日光菩薩、薬師如来の右手(向かって左)に月光菩薩を配置する形式のことである。
薬師如来は南向きに安置されているので、薬師如来の左の日光菩薩は東に、薬師如来の右の月光菩薩は西に安置されていることになる。
この薬師三尊像の配置は、陰陽道の宇宙観を表したものだと思う。
陰陽道では、東を太陽の定位置、西を月の定位置、中央は星とする
のだと聞いたことがある。
すると、中央の薬師如来は星の神なのではないだろうか。
また、この薬師三尊像や陰陽道の宇宙観から、、記紀(古事記と日本書紀)にある天照大神・月読命・スサノオ誕生のシーンを思い出す。
黄泉から戻ったイザナギが禊をし、左目を洗ったところ天照大神が、右目を洗ったところ月読命が、鼻を洗ったところスサノオが生まれたとある。
(※地図では左が西で右が東だが、地図の側にたてば、左が東で右が西になる。)
天照大神は太陽神、月読命は月神である。
ところが、スサノオだけは神格がはっきりしない。
イザナギはスサノオに「大海原をおさめよ」と命じている。
ここから、スサノオは海の神だと考えられ、海神(わだつみ)と同一視されている。
かと思えば、根の国(地獄のような死後の国)の王として登場することもある。
船場俊昭氏は「スサノオ(素戔嗚尊)とは輝ける(素)ものを失い(戔う/そこなう)て嘆き悲しむ(鳴/ああ)神(尊)」という意味で、はもとは星の神であったとしておられる。
とすれば、陰陽道の宇宙観、薬師三尊像の配置、記紀の天照大神・月読命・スサノオ誕生の記述はすべて矛盾なく合致する。
左・・・・太陽・・・日光菩薩・・・天照大神(左目から生まれた。)
右・・・・月・・・・・月光菩薩・・・月読命(右目から生まれた。)
中央・・・星・・・・ 薬師如来・・・スサノオ(鼻から生まれた。※鼻は顔の中央にある。)
現在、スサノオには星の神という神格がなく、海の神または根の国の神だと考えられているが、海の神というのは星の神の二次的な神格であると考えられる。
星は太陽や月と違って毎日同じ方角から出て同じ方角に沈むので、航海の指標とされていたためである。
VOL.23: 航海カヌー〈ホクレア〉の誕生 :その4~星の航海術
↑ こちらの記事には次のように記されている。
『昼間であれば太陽の位置によって方角がわかります。夜であれば、それは星の位置によって知ることができます。北半球にいる限り、北極星さえわかれば北がわかり、その高さによって緯度もわかる。あとはどの星がどこから昇ってくるか、あるいは沈むのか、その位置によって東西の経度がわかります。その指標となる星がいくつかあり、それを徹底的に覚え、その組み合わせから、現在、カヌーのいる位置を正確に割り出すわけです。』
上記サイトより引用。
スサノオは星の神という神格を奪われた神だと考えられるが、なぜ星の神という神格を奪われたのだろうか。
中国では天帝を祀るのは皇帝の義務だとされていた。
つまり、天帝は皇帝よりも偉大な存在である。
この天帝とは北極星のことであるとも、天そのものを神格化した神であるとも考えられていたようである。
スサノオは星は星でも天の中心にある北極星=天帝であると考えられていたのではないだろうか。
あるいは天にあるすべての星を抱く天そのものがスサノオであったのかもしれない。
天帝は中国の皇帝が祀る偉大な神である。
天皇家の祖神は太陽神・天照大神とされているが、スサノオが天帝であるとすると天照大神はスサノオよりも格下ということになってしまう。
それではまずい、ということで星の神は抹殺されたのではないだろうか。
初代神武天皇が日向より東征の旅に出立する際、シオツチの翁が「東にはすでにニギハヤヒが天の磐船を操って天下っている」と発言している。
ニギハヤヒは物部氏の祖神である。
ここから畿内には神武以前、物部王朝があったとする説がある。
東征して畿内入りした神武は地元の豪族であるナガスネヒコと戦った。
ナガスネヒコはニギハヤヒを神として奉じていたのだが、ニギハヤヒによって殺されたと記紀には記されている。
ニギハヤヒはナガスネヒコを見捨てて神武に服したということだろう。
『雲陽誌』という書物によれば、ニギハヤヒは星の神であると記述がある。
また、ニギハヤヒが天の磐船を操って天下った場所とされる磐船神社(大阪府交野市)近辺を流れる川は「天の川」といい、星田、星が丘など星のつく地名が多い。
スサノオとニギハヤヒは同一神なのではないかと思ったりもする。
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