カシオペア・北斗七星・北極星の呪術⑤ 薬師寺 『イザナギは天、イザナミは地』 よりつづく~ 京都市右京区 龍安寺
①龍安寺石庭 四つの謎龍安寺の石庭には四つの謎があるといわれている。
い.刻印の謎。石の裏側に文字が彫られている。
ろ.15個の石の構成の謎。『虎の子渡しの庭』『七五三の庭』などとも呼ばれている。
は.遠近の謎。塀が奥に向かって低くなっているので、庭が広く見える。
に.油土塀の謎。塀の内側にある石庭は、塀の外よりも80cmほど高くなっている。
②虎の子渡しの庭
虎の子渡しの庭と呼ばれるのは、次のような説話からくる。
3匹の子虎がいて、その中の1匹がどう猛だった。
そのため、母虎は常にその獰猛な子虎を見張っていないと、他の子虎を食ってしまいかねない。。
虎の親子はどうしても大河を渡る必要があるが、母虎は一匹づつしかくわえて渡れない。
母虎はまず獰猛な子虎を向こう岸に渡して引き返した。
次に、残った2匹のうち1匹を連れて向こう岸に渡し、どう猛な子虎を連れて引き返した。
次に、3匹目の子虎を連れて向こう岸へ渡り、二匹を残して引き返し、最後に獰猛な子虎を渡した。 石庭はこの様子を表したものだというのだ。
カシオペア座は天の川の中にある。
石庭の砂につけられた筋は天の川の流れを表しているのだろう。

そしてできるだけ広大な天の川のイメージに近づけるため、塀を奥に向かって低くなるように設計した(は.遠近の謎)のではないだろうか。
⑤石庭とカシオペア座の向きが左右逆転している理由石庭もカシオペア座もアルファベットのМの形をしているが、石庭は向かって左側が広いのに対し、カシオペア座は向かって右側が広くなっている。
しかしそれは地球上から人間がカシオペア座を見た場合だ。
カシオペア・北斗七星・北極星の呪術⑤ 薬師寺 『イザナギは天、イザナミは地』 上の記事で書いたように、古の人々は、自分本位に左右を考えるのではなく、薬師如来の立場になって左右を考えた。
それゆえ、薬師如来の左手側に日光菩薩、右手側に月光菩薩を配したのだ。(参拝者から見れば向かって右が日光菩薩、向かって左が月光菩薩)
天球(地球を中心としその上に広がる空を球と見立てたもの。惑星や恒星は天球上にはりついていると考える。)の上に神様がいるとして、神様が天球の上からカシオペアを見たとすると、私たちが地球上から眺めるのとは左右逆転したカシオペア座(向かって右側が広い)が見えるはずだ。
⑥石庭は天球、石庭を見下ろす広縁は天上『石庭の謎 に』は『塀の内側にある石庭は、塀の外よりも80cmほど高くなっている。』だった。
塀の外を地上、石庭は天球をあらわすため、石庭を塀の外よりも高くしたのではないかと思う。
もしも塀の外から透視して石庭を見上げることができるとすれば、石庭はカシオペアと同じ様に、向かって右側が広いM字型に見えるでだろう。
拝観者石庭を眺める広縁はカシオペア座や天の川よりもさらに高い位置にあり、天上をあらわしているのではないだろうか。
つまり広縁に立つものは、天上人というわけである。