カシオペア・北斗七星・北極星の呪術③ 璉珹寺(紀寺跡) 『女人裸形の阿弥陀如来』 よりつづく~
徳島県鳴門市 渦潮
①大鳴門橋淡路島と四国をつなぐ大鳴門橋。
大鳴門橋の手前が四国の徳島県鳴門市、橋の向う側が淡路島である。
橋の下には鳴門の渦潮が渦巻いているはずだったのだが、風が強い日だったせいか、きれいな渦潮を見ることができなかった。
②仁徳天皇、淡路島で歌を詠む。淡路島で仁徳天皇がこんな歌を詠んでいる。
天皇、その黒日売を恋ひたまひて、大后を欺
かして、淡道島を見たまはむとのりたまひて、幸でませる時に、淡道島に坐して遥(はろばろ)に望む(みさ)けまして歌ひたまはく
おしてるや 難波の崎よ 出で立ちて 我が国見れば 淡島 ・自凝(おのごろ)島 ・檳榔(あじまさ)の島も見ゆ 放つ島見ゆ
仁徳天皇は黒姫を恋い、大后を欺いて「淡路島を見ようと思う」と言い、行幸されたとき、淡路島に座って遥かを望み、歌いなされた。
難波の崎から、船出して、わが国を見ると、淡島 ・自凝(おのごろ)島 ・檳榔(あじまさ)の島も見える。放つ島も見える。
「おしてるや」は難波の枕詞、「自凝島」はイザナギとイザナミが天の浮橋で矛を海に差し入れてこおろこおろとかきまぜ矛を引き上げた際、滴った潮が固まってできたとされる島だ。
この自凝島でイザナギとイザナミは国生みをしたという。
淡島はイザナギとイザナミが国生みをした際、蛭子の次に産んだ島。
檳榔(あじまさ/ビロウ)は蒲葵(ほき/シュロに似た木)の古名。
檳榔の島とは、この蒲葵が多く生い茂っている島のことだろうか。
放つ島は離れ島とされる。

ビロウ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:%E3%83%93%E3%83%AD%E3%82%A6.jpg よりお借りしました。
③淡島は友ヶ島?
淡島は和歌山県加太市の淡嶋神社の沖にある友ヶ島ではないだろうか。
神功皇后はこの友ヶ島に祀られていた少彦名命と大己貴命の御加護を得て海難事故を免れたという。
その後、神功皇后の孫の仁徳天皇が友ヶ島から対岸の加太に社を移したのが加太の淡嶋神社だといわれている。
下の地図に沖ノ島とあり、その北に小さな丸い島がある。
拡大してみると、神島(友ヶ島)と島の名前が明記されている。
おそらくこれが友ヶ島だと思う。
神島の西には淡路島があり、淡路島から神島を望むことができそうである。
アジマサの島、離つ島はどの島のことなのか、私にはわからない。

淡嶋神社
④おのごろ島は鳴門の渦潮の近くにある島?
自凝島=おのごろ島は淡路島であるなどと言われることがある。
しかし、イザナギ・イザナミがおのごろ島で交わって、蛭子・淡島の次に産んだのが淡路島だとされているので、おのごろ島が淡路島であるというのは矛盾している。
私はおのごろ島は鳴門の渦潮の近くにある島のことではないかと思う。
②で私は次のように書いた。
自凝島(おのごろ島)はイザナギとイザナミが天の浮橋で矛を海に差し入れてこおろこおろとかきまぜ矛を引き上げた際、滴った潮が固まってできたとされる島であると。
この「こおろこおろと海をかきまぜた」という表現は、鳴門の渦潮が回転するようすを比喩的に表したものなのではないだろうか?
鳴門の渦潮が発生するちょうど真上あたりに大鳴門橋があり、まるで大鳴門橋は天の浮橋のように感じられる。
この大鳴門橋の真下に小さな島があるが、もしかするとこの小さな島がおのごろ島なのかもしれない。
⑤鳴門の渦潮はイザナミの女陰?
鳴門の渦潮を見ながら、私は璉珹寺の庭に描かれた渦巻きを思い出していた。
カシオペア・北斗七星・北極星の呪術③ 璉珹寺(紀寺跡) 『女人裸形の阿弥陀如来』


裸形のみほとけの股間には、うずまき形の馬陰相または蓮花形の蓮花相をつけるのが一般的なようである。
http://www.narahaku.go.jp/collection/658-0.html
上記リンク先、奈良国物博物館所蔵の阿弥陀如来は拡大して見ると、股間に蓮の花のようなものが見える。
これが蓮花相だろう。
(写真をクリックし、右上に表示されている+マークを数回クリックすると拡大します。)
馬陰相のみほとけの写真はネット上に見つけることができなかった。
新薬師寺のおたま地蔵は男根を思わせる蓮のつぼみ、鎌倉市・延命寺の身代わり地蔵はリアルな女陰など例外もあるが。
璉珹寺には女人裸形の阿弥陀如来があるのだが、胸はふくらんでいない。
http://naratour.blog.jp/archives/1028868554.html ←こちらのサイトに写真があります。
とすると、身に着けた袴の下に女性であることをしめす相があるのではないか。
そして、庭に描かれた渦巻きは馬陰相であり、女人裸形の阿弥陀如来の股間にこのような渦巻きが描かれているのではないかと私は考えた。
袴をめくって確認することはできないので、推測するしかないのだが。
つまり、一般的には馬陰相や蓮花相は性の違いを表すものであるとは考えられていないが、
渦巻きを描く馬陰相は女性を、蓮花を描く蓮花相は男性を表しているのではないかと私は考えているのだ。
あるいは延命寺の身代わり地蔵のように、璉珹寺の女人裸形の阿弥陀如来の股間は盛上げ(写実的に女陰を描いたもの)になっているのかもしれないが
右回りの渦巻きは女性を表すとして、庭に渦巻きを描いているのかもしれない。
すると、巨大な渦巻き・鳴門の渦潮は女神イザナミの女陰になぞらえられているのではないだろうか。
子供は生まれるとき、ほとんど右回りに回って産道から出てくるが、鳴門の渦潮はほとんど右回りだという。
(私が訪れたときは左回りの渦潮も結構たくさん発生していたが。)
カシオペア・北斗七星・北極星の呪術⑤ 薬師寺 『イザナギは天、イザナミは地』 へつづく~
トップページはこちらです→
カシオペア・北斗七星・北極星の呪術① 伝香寺 『陰蔵相のあるはだか地蔵』
毎度、とんでも説におつきあいくださり、ありがとうございました!
※まとめサイトなどへ無断で転載することはおやめください。
にほんブログ村
- 関連記事
-
スポンサーサイト