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カシオペア・北斗七星・北極星の呪術② 新薬師寺 『おたま地蔵の股間に蓮のつぼみが!』 

カシオペア・北斗七星・北極星の呪術① 伝香寺 『陰蔵相のあるはだか地蔵』  よりつづく~



奈良市高畑町 新薬師寺
新薬師寺 きくもも


①眼病治癒に霊験のある寺

4月8日はお釈迦様の誕生日で、各地の寺院でお釈迦様の誕生をお祝いする「花まつり」が行われる。
新薬師寺の境内では菊桃の花が満開で、まるで「花まつり」のお供えのようだった。

本堂中央には御本尊の瞳の大きな薬師如来が鎮座されている。

Bhaisajyaguru of Shin-Yakushi-ji

新薬師寺 薬師如来坐像
https://commons.wikimedia.org/wiki/File%3ABhaisajyaguru_of_Shin-Yakushi-ji.jpg
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/c/c3/Bhaisajyaguru_of_Shin-Yakushi-ji.jpg よりお借りしました。
作者 撮影・小川一真 (
http://webarchives.tnm.jp/archives/cat/database) [Public domain], ウィキメディア・コモンズ経由

新薬師寺は745年に聖武天皇が光明皇后の眼病平癒を祈願して建立されたという伝承があり、眼病治癒に霊験あらたかとされてきた。
そういったところから、瞳の大きな薬師如来が作られたのだろう。

薬師如来の周囲を「東洋のギリシャ」と称される十二神将が囲んでいる。
十二神将は躍動感にあふれ、今にも動き出しそうだ。

Basara 12 Heavenly Generals ShinYakushiji

新薬師寺の伐折羅大将(迷企羅大将)

https://commons.wikimedia.org/wiki/File%3ABasara_12_Heavenly_Generals_ShinYakushiji.JPG
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/b/b6/Basara_12_Heavenly_Generals_ShinYakushiji.JPG よりお借りしました。
作者 日本語: 小川晴暘(1894-1960) 仏像写真家 飛鳥園創業者) English: Ogawa Seiyou (1894-1960), a famous photographer in Japan [Public domain], ウィキメディア・コモンズ経由で


②景清地蔵とおたま地蔵

本堂を出て香薬師堂に入ると、二体の地蔵菩薩が並んでいた。
この地蔵菩薩が今日の話の主人公、景清地蔵とおたま地蔵である。

景清地蔵と呼ばれているのは、次のような伝説によるものである。

悪七兵衛影清(藤原景清)は大仏開眼供養に参列するため奈良にやって来た源頼朝を殺そうと企て、東大寺大仏殿に潜んでいたが頼朝を殺すことができなかった。
景清は等身大の地蔵を刻み、自分の身代わりにと母親に渡し、自分は目をついて死んだ。


この地蔵菩薩はもともと新薬師寺にあったものではなく、1869年に近くの地蔵堂から移されたものだという。

新薬師寺 松明

新薬師寺 修二会の松明

③景清地蔵とおたま地蔵はもともとは1体だった。


現在、香薬師堂には2体の地蔵菩薩像が並べて安置されているが、もともとこの2体は1体の地蔵菩薩だった。

1983年にこの地蔵菩薩の解体修理を行った際、像内部から体部が発見された。
つまり、もともとは裸形の地蔵菩薩でその上に着物を着せていたのを、後になってその像の上に木で作った着物を被せたものだということが判明したのだ。

胎内からは文書が発見され、これにより、興福寺別当・実尊の追善を目的として弟子の尊遍が造らせたものであることがわかった。

そしてこの地蔵菩薩から、体部をとりだし、頭部などをおぎなって2体の地蔵菩薩としたのである。
着物を着た地蔵菩薩はそれまでどおり景清地蔵、景清地蔵の内部からとりだした裸形の地蔵菩薩はおたま地蔵と呼ばれている。

④おたま地蔵の股間に蓮のつぼみが!


裸形のおたま地蔵のほうには股間に蓮のつぼみがついていた。

http://www.webchikuma.jp/articles/-/439 http://chabashira.sowzow.com/juumin/19usagi/usagi_024.html(←こちらのサイトに写真が掲載されています。)

⑤木造の着物を貼りつけておたま地蔵の蓮のつぼみを隠した尊遍


「もともと裸形で着物を着せていたのが、いつしか着せ替える人がいなくなり、木の衣を作って着せたのではないか。」
薬師寺で私はそのような説明を受けた。

http://www.webchikuma.jp/articles/-/439?page=2
↑ こちらのサイトでは「おたま地蔵は実尊の姿を映したものであり、この像を作った尊遍は、自分の死後に、この丸裸の像を丸裸で残すことを心配して木造の着物を貼りつけたのではないか」とする水野敬三郎氏の説を紹介している。

私は水野敬三郎さんの説のほうを支持する。

仏さまの陰蔵相は、男根が馬のように体内におさめられた相とされている。
伝香寺のはだか地蔵もそのような形につくられているものと考えられる。

しかしおたま地蔵の股間についた蓮のつぼみは、体内におさめられていない。
このような裸形のみほとけは珍しいと思う。

おたま地蔵は異例の像だといえるのではないか。
あるいは、おたま地蔵は禁断の像であるといってもいいかもしれない。

尊遍はどのような目的でこの禁断の像を作ったのか。
http://www.webchikuma.jp/articles/-/439?page=2 
↑ こちらのサイトがいうように、実尊と尊遍はBLの関係にあったのかもしれないし、
BLとは関係なく何か呪術的な目的でこのような像を作ったのかもしれない。

いずれにせよ、あまり人に見せたくないものであったので、木造の着物を貼り付けて隠したのではないだろうか。

日が暮れると、修二会のお松明の行事が行われた。
勢いよく燃える炎をながめながら私はそんなことを考えていた。

新薬師寺 お松明

新薬師寺 お松明2

渦巻きの呪術③ 璉珹寺(紀寺跡) 『女人裸形の阿弥陀如来』  へつづく~
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毎度、とんでも説におつきあいくださり、ありがとうございました!
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[2017/12/10 09:37] カシオペア・北斗七星・北極星の呪術 | トラックバック(-) | コメント(-)