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トンデモもののけ辞典108 片葉の葦 

『本所七不思議之内 片葉の芦』(片葉の葦)三代目 歌川国輝・画

『本所七不思議之内 片葉の芦』(片葉の葦)三代目 歌川国輝・画

1⃣片葉の葦

江戸時代の頃、本所にお駒という美しい娘が住んでいたが、近所に住む留蔵という男が恋心を抱き幾度も迫ったものの、お駒は一向になびかず、遂に爆発した留蔵は、所用で外出したお駒を追った。そして隅田川からの入り堀にかかる駒止橋付近(現在の両国橋付近の脇堀にかかっていた橋)でお駒を襲い、片手片足を切り落とし殺した挙げ句に堀に投げ込んでしまった。それ以降、駒止橋付近の堀の周囲に生い茂る葦は、何故か片方だけの葉しか付けなくなったという。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%87%E8%91%89%E3%81%AE%E8%91%A6 より引用

2⃣本所の葦

この物語の舞台は東京都墨田区本所である。


上の地図の赤い点線で囲まれた隅田川の東岸にある地域が現在の本所である。
葦は池沼、河岸、湿地など、水辺に生えるので、本所にも葦が茂っていたのだろう。

本所の料亭 広重

本所の料亭 広重

広重の絵にも葦のようなものが描かれている。

24216833_s.jpg



葦


3⃣居多神社の片葉の葦

ウィキペディア「片葉の葦」のところに、次の様に記されている。

越後七不思議の一つの「片葉の芦」については「居多神社」をご覧ください。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%87%E8%91%89%E3%81%AE%E8%91%A6 より引用

どうやら片葉の葦は本所だけでなく、居多神社にもあるらしい。

境内には、葉が片方にのみ生える芦「片葉の芦」が群生する[3]。伝承では、親鸞が居多神社に参拝して祈願をすると境内の芦が一夜にして片葉になったという[3]。この片葉の芦は「越後七不思議」の1つにも数えられている[3]。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%85%E5%A4%9A%E7%A5%9E%E7%A4%BE#%E5%A2%83%E5%86%85 より引用

360px-片葉の芦

居多神社 片葉の芦

4⃣お駒は片葉の葦を擬人化したもの?

本所七不思議の「 片葉の芦」では、「留蔵が自分になびかないお駒の片手片足を切り落として殺した」とある。
片葉の葦を、人間の片手片足を切り落とした状態に喩えたものではないかと思う。
お駒は片葉の葦を擬人化したものと言ってもいいだろう。

葦はお駒の切り落とされた「足」の語呂合わせにもなっている。

留蔵は片葉の葦の、葉のないほうに立っていて、それで片葉の葦の葉が自分のほうに「なびかない」のではないか。

5⃣葦は男女のカップルをイメージさせる?

百人一首にこんな歌がある。

難波江の 蘆のかりねの 一よゆゑ 身をつくしてや 恋ひわたるべき/皇嘉門院別当(こうかもんいんのべっとう)
(難波江の、蘆を刈ってつくった小屋での、たった一夜の仮の一夜、蘆の一節(ひとよ)のような一夜のために、難波江に建てられている澪標の言葉と同じように身を尽くして 恋しつづけるべきでしょう。)

難波潟 みじかき蘆の ふしのまも 逢はで此の世を 過ぐしてよとや/伊勢
(難波潟の短い芦の節の間ほどの短い時間もあなたにお会いすることができず、一生を過ごせと、あなたは言うのでしょうか。)

http://arhrnrhr.blog.fc2.com/blog-category-38.html?q=%E9%9B%A3%E6%B3%A2%E6%BD%9F&charset=utf-8#entry331

どちらも恋の歌である。
肩葉の葦ではないふつうの葦が、両側に葉をつける。
古の人々は、両側に葉をつける葦から、男女のカップルを思い浮かべたのではないだろうか。
それで葦と恋をむすびつけた歌を詠んでいるのではないかと思った。

6⃣伊勢にも片葉の葦の伝説があった。

下記動画では伊勢の国・長井の里の井出のお宮を舞台とする話で
渡り鳥である雁が葦の葉をもらって長い渡りの旅に出て、疲れればその葉を海に浮かべて、体をやすめるという。


なんだか雁風呂を思わせる話である。

月の夜、雁は木の枝を口に咥えて北国から渡ってきて、飛び疲れると波間に枝を浮かべ、その上に停まって羽根を休める。そうやって津軽の浜までたどり着くと、要らなくなった枝を浜辺に落とす。日本で冬を過ごした雁は早春の頃、浜の枝を拾って北国に戻って行く。雁が去ったあとの浜辺には、生きて帰れなかった雁の数だけ枝が残っている。浜の人たちは、その枝を集めて風呂を焚き、不運な雁たちの供養をしたという[1]。

2012年、青森県立図書館の調査により、上記の伝説は1974年のテレビCMで広まったものであり、青森県内で伝承されたものではないと判明した[1]。また、伝説の基となった物語は四時堂其諺『滑稽雑談』(1713年(正徳3年)成立)巻16に収められているが、日本ではなく他国の島での話として収められた物語と判明した[1]。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%81%E9%A2%A8%E5%91%82#%E6%A6%82%E8%A6%81 より引用

それはともかく、肩葉の葦はあちこちに生息していそうである。
今度、川辺にいったら探して見ようと思う。

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