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「因幡の素兎」はオキノウサギの換毛を比喩的に描いたものだった?


地主神社

京都・地主神社の大国(大穴牟遲神)と素兎

①稲羽の素兎

大穴牟遲神(おおなむぢのかみ=大国主神)は八十神(やそがみ=兄弟)から嫌われていた。八十神は、稲羽の八上比賣(やがみひめ)に求婚したいと思い、稲羽(いなば)に出掛けた時、大穴牟遲神に袋を持たせ、従者のように引き連れた[2]。
「気多(けた)の前」に来たとき、裸の兎(あかはだのうさぎ)が伏せっていた。兎は、八十神に「海塩を浴び、山の頂で、強い風と日光にあたって、横になっていることだ」と教えられた通りに伏せていたが、海塩が乾くにつれ、体中の皮がことごとく裂けてきて、痛みに苦しんで泣いている。すると、最後に現れた大穴牟遲神が「なぜ泣いているの」と聞いた[2]。
菟は「私は隠岐の島からこの地に渡ろうと思ったが、渡る手段がありませんでした。そこで、ワニザメ(和邇)を欺いて、『私とあなたたち一族とを比べて、どちらが同族が多いか数えよう。できるだけ同族を集めてきて、この島から気多の前まで並んでおくれ。私がその上を踏んで走りながら数えて渡ろう』と誘いました。すると、欺かれてワニザメは列をなし、私はその上を踏んで数えるふりをしながら渡ってきて、今にも地に下りようとしたときに、私は『お前たちは欺されたのさ』と言いました。すると最後のワニザメは、たちまち私を捕えてすっかり毛を剥いでしまいました。それを泣き憂いていたところ、先に行った八十神たちが『海で塩水を浴びて、風に当たって伏していなさい』と教えたので、そうしたところ、この身はたちまち傷ついてしまったのです」といった。そこで、大穴牟遲神が兎に「今すぐ水門へ行き、水で体を洗い、その水門の蒲(がま)の穂をとって敷き散らして、その上を転がって花粉をつければ、膚はもとのように戻り、必ず癒えるだろう」と教えたので、そうすると、その体は回復した。これが、稲羽の素兎(しろうさぎ)である[2]。
その兎は「八十神は八上比賣を絶対に得ることはできません」と大穴牟遲神に言った。そのとおり、八上比賣は八十神に「あなたたちの言うことは聞かない」とはねつけ、大穴牟遲神に「袋を背負われるあなた様が、私を自分のものにしてください」と言ったため、今では兎神とされる[2]。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%A0%E5%B9%A1%E3%81%AE%E7%99%BD%E5%85%8E#%E5%8F%A4%E4%BA%8B%E8%A8%98 より引用

⓶海水は傷を悪化させる。

ネットを検索すると「傷は生理食塩水または水道水でよく洗浄する」と書かれている。
生理食塩液とは、0.9%の食塩液のことである。
海水の塩分濃度は3.4%ぐらい。
傷に塩を塗った経験はないが、「傷口に塩を塗る」という故事があり、傷口に塩を塗るとしみて痛みがますのだという。
また傷がある状態で海に入ると傷口から細菌が感染して化膿したりすることがあるとのこと。
毛をむしられた兎が海水をあびて悪化するのは当然だろう。

おそらく海水が傷を悪化させることは古より経験で広く知られていたのだろう。
八十神は、わざとまちがった情報を兎にあたえて意地悪をしたということだろうか。

③蒲黄

大穴牟遲神(大国主神)は兎に「水で体を洗い、その水門の蒲(がま)の穂をとって敷き散らして、その上を転がって花粉をつければ、膚はもとのように戻り、必ず癒えるだろう」
と教えているが、蒲の花粉には傷をいやす薬効がある。

ガマの穂に含まれる花粉を,蒲黄(ホオウ)と言います.古代から,止血,通経,利尿薬として用いられています.傷の治す作用の有ることが分かります.
http://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/flower/H1408.html より引用


下記リンク先にあるように穂蒲は黄色い粉末状である。

http://www.yanagidou.co.jp/hoou-funmatu-logo.jpg

古の人は穂蒲の薬効も知っていたのだ。

1293054_s.jpg

④なぜケガをしたのは兎だったのか。

古事記の作者は、なぜケガをしたのを兎としたのだろうか。

蒲は6月~8月に高く伸ばした茎の上部に花穂をつける。
花穂の上部は黄色い花粉を持つ雄花穂、下部の緑色部は雌花穂である。
花には花びらはなく、は黄色い葯(おしべの一部で, 花粉  をつくる袋状の部分)が見える状態になる。

https://pino330.com/archives/14605
上記記事、4枚目の写真がわかりやすい。

花が終わると、雄花は散り、雌花穂は茶褐色のソーセージのような形になる。
雌花は白い綿毛のようなものをつける。
この白い綿毛は素兎の毛のようにも見える。
ソーセージのような形の茶褐色の状態は毛をむしられた兎、綿毛が付いた状態は回復して白い毛が生えた素兎ということではないだろうか。

⑤因幡の兎はオキノウサギの換毛をあらわしたものだった。

話はこれで終わらなかった。

兎は換毛する。
「因幡の素兎」の物語は、実は兎が毛をむしられたのではなく、換毛を表現した物語なのではないか?
私はそう考えて、そこで、日本に棲息するニホンノウサギについて調べてみたのだ。

全身の毛衣は褐色、腹部の毛衣は白い[2]。耳介の先端は黒い体毛で被われる[2]。

~略~

東北地方や日本海側の積雪地帯に生息する個体群(トウホクノウサギ)や、佐渡島の個体群(サドノウサギ)は冬季に全身の毛衣が白くなる[2]。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%83%8E%E3%82%A6%E3%82%B5%E3%82%AE#%E5%BD%A2%E6%85%8B
より引用

残念、ニホンノウサギには隠岐諸島(島根半島の北にある島)に棲息するオキノウサギもいるが、これは冬季に白くならないようだ。

  


しかし、オキノウサギには「白いのもいる」と記された記事があった!
https://www.oki-hs.ed.jp/files/original/20220318000818440bb3d75d4.pdf


「因幡の白兎」とあるが、「稲羽」が因幡(現在の鳥取県東部)だという記載はない。「イナバ」は稲葉、稲場すなわちイネの置き場を指し、各地の地名にもみえる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%A0%E5%B9%A1%E3%81%AE%E7%99%BD%E5%85%8E#%E8%A7%A3%E8%AA%AC
より引用

とあるが、因幡(現在の鳥取県東部)の話だと思う。
兎は鳥取県北部の隠岐諸島に棲息するオキノウサギだろう。

通常のオキノウサギは茶色だが、この物語に登場するオキノウサギはまれにみられる白いオキノウサギだったのではないだろうか。
古来、白い動物は神聖視されたようで、ヤマトタケルの物語には、白い猪や白い鹿が登場する。


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