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トンデモもののけ辞典㊸ 太陽、月を食べる天狗(星の神)

日食2

部分日食 あいにくの曇り空でした。

①天狗食日食月信仰


こちらの記事で、こんなことを書いた。

⓶天の犬が日月を食って日食・月食がおこる。
中国には「天狗食日食月信仰」なるものがあるそうである。
それは次のような内容である。
日神と月神が、人間の起死回生の薬を盗んだので、人々は犬に日と月と追いかけさせた。
日神と月神は薬を飲んでいたので、犬が噛んでも死なないが、犬は追いかけて日月を食う。
そのため日食・月食がおこる。(紅河イ族辞典)

舒明天皇九年(637年)の記事に次のような記述がある。
大きな星が東から西に流れ、雷に似た音がした。
僧旻は 「あれは流星ではなく天狗(アマツキツネ)だ」 と言った。

流星のようなものをみて、僧旻は天狗といっている。
つまり、犬=流星が日月を食べるのが原因で日食・月食がおこるということだろう。

これに関することで思いついたことがあるので書いておきたいと思う。

月食

法起寺 月食(合成)

⓶スサノオは星の神

日本で日神・月神といえば、天照大神と月読命である。
記紀によれば
イザナギが左目を洗ったところ天照大神が、月読命の右目を洗ったところ月読命が、鼻を洗ったところスサノオがうまれたという。

一方陰陽道の宇宙観によると、東は太陽の定位置、西は月の定位置、中央は星とするのだという。


西福寺

上は西福寺の熊野歓心十界曼荼羅も、左が日、右が月になっている。
上部の黄色の〇は日、灰色の〇は月である。

日は右で、月は左じゃないかと言われるかもしれないが、
それは正しくは 日は向かって右、月はむかって左なのであって、絵の側にたてば日は左、月は右となる。

高松塚古墳、キトラ古墳には日像、月像、星宿が描かれているが、この陰陽道の宇宙観のとおりに描かれている。

つまり、イザナギの顔は宇宙(天)なのだ。
すると、イザナギの顔の中央にある鼻から生まれたスサノオは星の神ということになる。

船場俊昭さんは次のようにおっしゃている。
スサノオを漢字で書くと素戔鳴尊となるが「輝ける(素)ものを失って(戔)ああ(鳴)と嘆き悲しむ神(尊)」という意味で、スサノオはもともとは星の神だったのが、のちに星の神という神格を奪われたのてはないかと。

※素は白と言う意味もあり、明るいので、船場さんは「輝く」という意味だとしたのだろう。

金環日食

金環日食

③星の神(スサノオ・天津甕星)と天照大神のトラブル

スサノオは、天照大神の田の畔を壊し、溝を埋め、神殿に糞をするなどした。
また、機織場に馬の逆剥ぎを放り込み、それに驚いた一人の織女が杼でほとをついて死んだ。
この事件がきっかけで天照大神は天の岩屋戸に隠れてしまい、高天原は闇になった。
アメノウズメが岩戸の前でストリップダンスをし、八百万の神々がどっと笑ったので、天照大神は岩戸を少しあけて外を伺った。
天岩戸の前に置かれた鏡に天照大神の姿が移り、天照大神が不思議におもっているところをアメノフトダマが天照大神を引っ張り出した。
こうして高天原や葦原中国もは明るくなった。
八百万の神々は、スサノオの髭を切り、手足の爪を抜いて高天原を追放した。

スサノオは天照大神と対立関係にあったのである。

④星の神は日神と対立する?

天津甕星と言う神がいる。
不思議なことに記紀神話には星の神はこの天津甕星たった一柱しか登場しない。
そして、この天津甕星もまた天照大神と対立する神であり
天照大神の葦原中国平定に最後まで抵抗した神と記されている。

どうやら星の神は、天照大神に抵抗する神のようである。

天照大神に抵抗する神という点において、スサノオと天津甕星はイメージが重なる。
このことからも、スサノオは星の神ではないかと思われるのである。

スサノオはイザナギから「大海原を治めよ」と命じられている。
星は航海の指標とされた。
海(航海)の神は星の神の二次的な神格ではないかと思われる。

このように考えたとき、日や月を天狗(流星)が食べるというのは
太陽神である天照大神が、星の神であるスサノオが食べることと同じ話であるかのように思えてくる。

⑤星の神(スサノオ)とオオゲツヒメのトラブル

スサノオは天照大神だけでなくオオゲツヒメともトラブルをおこしている。

高天原を追放されたスサノオはお腹がすいたので、オオゲツヒメに食べ物を求めた。
オオゲツヒメは様々な食べ物をスサノオに与えた。
オオゲツヒメは鼻や口、尻から食材を取り出し、それを調理していたのだった。
スサノオは「よくもそんな汚い物を食べさせやがって!」と怒ってオオゲツヒメを殺した。
オオゲツヒメの死体の頭から蚕が、目から稲が、耳から粟が、鼻から小豆が、陰部から麦が、尻から大豆が生まれた。


⑥オオゲツヒメは月の神?


オオゲツヒメは大宜都比売、大気都比売神、大宜津比売神、大気津比売神のように表記されているが
もともとは大月姫だったのではないかと私は考えている。

その理由を説明する。

月読命はイザナギの御子神(性別不明)だが
オオゲツヒメはイザナギとイザナミの間に生まれた娘である。
二神は交わって国産みをして、その際、一身四面の神・伊予之二名島(四国)を産むのだが
その中の阿波国の別名が大宜都比売となっている。

月読命とオオゲツヒメはどちらもイザナギの御子神なのである。

そして阿波という地名は、粟が多く生産されていたためだとされるが、

粟

上の写真を見ればわかるように、粟の穂がは三日月の形をしている。
阿波国の別名がオオゲツヒメなのは、粟の穂が三日月の形をしているためではないだろうか。

そういうわけで、オオゲツヒメとは大月姫で、月の神ではないかと思うのである。

⑦スサノオは日神・月神を食う犬(流星)?

天照大神とスサノオのトラブルについてはすでに記したが、このとき、スサノオは天照大神を殺したのではないかと思う。

スサノオは、機織場に馬の逆剥ぎを放り込み、それに驚いた一人の織女が杼でほとをついて死んだ。
のだった。

この織女とは天照大神のことだとも考えられるからだ。

スサノオと天照大神は天の安川をはさんで、うけいの子産みをしている。
天の安川を天の川とすれば、スサノオは彦星、天照大神は織姫なのか、と思える。(日神が星神に変身したということになるが)
そして、杼でほとをついて死んだ織女とは天照大神自身の事ではないかと思えてくるのである。

そして、その後天照大神は天岩戸に籠るのだが、天岩戸は石室のイメージだ。
天照大神は死んで石室に葬られているのではないか?

すると、星の神スサノオは、日神(天照大神)も月神(オオゲツヒメ)も殺しているということになる。
これは天狗食日食月信仰と同じである。

日神(天照大神)と月神(オオゲツヒメ)は薬を飲んでいたので、犬(スサノオ)が噛んでも死なないが、犬は追いかけて日月を食う。

⑧日食・月食が起こると星が輝きをます。

なぜ星にくわれて日食・月食がおこるなどと言う伝説ができたのだろうか。

月食が起こって月が見えなくなると星がよく見える。
日食が起こると夜のように暗くなって星が見えると聞いたこともある。
当然流星も見えただろう。

つまり星が日月の輝きを奪ったと昔の人は考え、それをを「犬が食べる」と表現して、このような伝説が作られたのではないだろうか。







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