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太陽の木 と 月の木⑭ 太陽には八咫烏、月にはウサギ・ヒキガエルがすむ ※一部訂正しました。

※ 「太陽の木 と 月の木⑭ 八咫烏は復活した太陽神? 」は削除して、あたらしく記事を書きなおしました。
   ご迷惑をおかけして申し訳ありません。


①「八咫烏、ウサギ、ヒキガエル」について考察した記事

中国では太陽には八咫烏、月にはウサギ・ヒキガエルがすむといわれる。
「八咫烏、ウサギ、ヒキガエル」について考察した記事がネットにあった。

をまとめる。

❶長江流域の古代王国群から、青銅製の高さ四mの巨大神樹も発見された。
九つの枝を持ち、カラスを載せる扶桑(ふそう)。仏教でいうところの須弥山。
もともとは天辺に十本目の大枝(幹)があったが、欠損している。
カラスは十の太陽を運ぶ鳥、またはそこに棲む鳥とされる。

上賀茂神社 八咫烏

上賀茂神社

❷中国王朝のシンボルは龍と鳳凰だが、鳳凰は南方人(非中国人・苗族)のシンボル。

❸鳳凰はシンボル「鳥」のバリエーション。

❹堯の時代、順に出ていた十の太陽が一度に空に上がり、大旱魃となった。
ゲイはこれを射落として太陽を一つにした。このとき、太陽の破片と一緒に三本足のカラスが墜ちてきた。

❺太陽がかつて十あったという神話は殷王朝も共有していた。

❻日本でもこの神話をベースにした迎年の射日神事が行われている。

❼熊野と「金烏」(きんう:三本足のカラスであり太陽のこと)の縁は深い。
太陽樹・扶桑のある所を湯谷(ようこく)と言うが、不思議なことにわが国の能の一つに「湯谷」(ゆや)というものがあり、これは「熊野」とも書き、これで「ゆや」と読む。

❽西方の仙界・崑崙山(こんろんさん)に棲む西王母に兎がしたがっている。

地主神社 兎

地主神社 大国主と兎

❾兎は上下対称で中央部を持って搗く杵(きね)で、餅ではなく不死の薬草を煎じる。

❿楚とその先行文明を色濃く残した地・湖南省長沙市の漢代の馬王堆(まおうたい)遺跡の帛画(はくが:絹衣に描かれた絵)には、扶桑に宿る十個の太陽とカラス、それに三日月にウサギが描かれている。
月には(うさぎ)より大きくヒキガエルが描かれ、カラスは二本足。

ヒキガエル

ヒキガエル

⓫十個の太陽の父は天。天はゲイに太陽を懲らしめよと命じただけだったのに、ゲイは射殺したので
ゲイとその妻・嫦娥(じょうが)は天界を追放された。
ゲイと嫦娥は崑崙山に西王母を訪ね、ウサギが煎じた不死の妙薬をもらった。
嫦娥はその仙薬を一人で飲み、仙界の月に嫦娥は昇ったが、嫦娥の姿は月で蟾蜍(せんじょ:ヒキガエル)に変わってしまった。

⓬月の満ち欠けに通ずる再生信仰があったため、ウサギが不死の薬をつくという神話ができたのだろう。

⓭カラスの足の本数は、奇数が陽の数字だからだろう。

⓮法隆寺の玉虫厨子・台座の背後には、宇宙樹としての須弥山、その上方左右に太陽・月が描かれている。
太陽の中には翼を広げた八咫烏が描かれている。月にはウサギとヒキガエルが描かれている。

玉虫厨子

よりお借りしました。

⓯江戸末期まで、朝廷のハレの儀式には日月を表す幟(のぼり)が必ず引き出されていた。
それらの幟の頂上の飾り物には、金烏と玉兎(ウサギとヒキガエル)が描かれていた。
天皇の礼衣の左右両肩にも金烏と玉兎が刺繍されていた。

⓰英語の「ルナテック」は「気が狂った」という意味で、狼男は満月の晩に変身するが、月の魔力の大きさを示すのだろう。
その理由は、月の満ち欠けと、潮の満ち干や女性の月経との相関関係は承知されていたと思われるため。

⓱キリスト教は自然的・肉体的なものを排除しようとする、はなはだ人為的・精神的なもの、つまりは人格神=人間的な秩序を重んずる宗教

⓲トルコの国旗は赤地に白い三日月と星。太陽つまり「昼」を採っている日本国旗とは正反対。
イスラム諸国の昼を作り出す太陽は嫌われ、それが和らぐ夜に冷たく輝く月と星こそが安らぎと幸福の象徴。
それゆえイスラム暦は太陰暦。


⓶記事の納得できない点

この記事はたいへんおもしろくのだが、後半にいくつか納得できないところがある。

⓱狼男は満月の晩に変身するが、月の魔力の大きさを示すのだろう。その理由は、月の満ち欠けと、潮の満ち干や女性の月経との相関関係は承知されていたと思われるため。

と書いておられるが、日本では太陽神は女神となっていて、月の神ではない。
狼男が満月の晩に返信するのがおかしいのであれば、日本の太陽神が女神であるのもおかしいといわなければならない。

⓲では⓱をうけて、

「キリスト教は自然的・肉体的なものを排除しようとする」とおっしゃっているが、キリスト教は自然を比喩したと考えられるふしがある。

「キリスト」は太陽神
「キリストが十字架にかけられる」は「太陽の南中高度が南十字星の位置に近づく(古代ローマでは南十字星がみえていた)」こと
「死んだキリストが3日後に復活する」とは「冬至の衰えた太陽が復活する」ことの喩えだとする説があるのだ。

⓳トルコの国旗は赤地に白い三日月と星。太陽つまり「昼」を採っている日本国旗とは正反対。
イスラム諸国の昼を作り出す太陽は嫌われ、それが和らぐ夜に冷たく輝く月と星こそが安らぎと幸福の象徴。
それゆえイスラム暦は太陰暦。

とあるが、西にあるイスラム諸国が月や星を国旗にし、東にある日本が太陽を国旗にしているのは、陰陽の宇宙観によるものだとも考えられる。
陰陽道の宇宙観では、東を太陽の定位置、西を月の定位置、中央を星と考える。
太陽が嫌われているからイスラム暦は太陰暦と書いておられるが、太陽を好む日本の暦も長らく太陰暦がつかわれていた。

③ゲイは月の弓で太陽を射た。

後半は同意できないものの、この記事は大変参考になる記事だった。

❺堯の時代、順に出ていた十の太陽が一度に空に上がり、大旱魃となった。
ゲイはこれを射落として太陽を一つにした。このとき、太陽の破片と一緒に三本足のカラスが墜ちてきた。

ここに「射落とした」とあり、ゲイは弓で太陽を射たことがわかる。
弓月とは三日月のことだろう。
ゲイは月を用いて太陽を射たのだろう。

ギリシャ神話の月の女神・アルテミスが狩の女神でもあるのも、三日月の形が弓の形に似ているからだと思う。

もしかするとゲイも男神だが月の神なのかもしれない。
ゲイの妻・嫦娥(じょうが)が兎で、ゲイはヒキガエルだろうか?
つまり、ゲイは不死の薬を飲んで醜くなった嫦娥の姿ではないか、ということである。

(すいません、↑ この部分削除します。)

④八咫烏は天高くとび、うさぎとヒキガエルは地上をはねる。ヒキガエルは冬眠する。

⓫十個の太陽の父は天。天はゲイに太陽を懲らしめよと命じただけだったのに、ゲイは射殺したので
ゲイとその妻・嫦娥(じょうが)は天界を追放された。
ゲイと嫦娥は崑崙山に西王母を訪ね、ウサギが煎じた不死の妙薬をもらった。
嫦娥はその仙薬を一人で飲み、仙界の月に嫦娥は昇ったが、嫦娥の姿は月で蟾蜍(せんじょ:ヒキガエル)に変わってしまった。

何故太陽には八咫烏、月には兎またはヒキガエルなのか。
これは陰陽思想によるものかもしれない。

地を陰陽で言うと、天が陽、地が陰。
天体を陰陽で言うと、太陽が陽、月が陰である。
性別を陰陽で言うと、男が陽、 女が陰。
数字を陰陽で言うと、奇数が陽、偶数が陰。

陽・・・・天・・・太陽・・・男・・・奇数(八咫烏は三本脚)
陰・・・・地・・・・月・・・女・・・偶数(兎・ヒキガエルは四本脚)

この陰陽の天地について考えてみると、鳥は天高く飛び、兎やヒキガエルは地上をはねる。

陽・・・・天・・・太陽・・・男・・・奇数(八咫烏は三本脚)・・・・・・・鳥(天高く飛ぶ)
陰・・・・地・・・・月・・・女・・・偶数(兎・ヒキガエルは四本脚)・・・兎 ヒキガエル(大地をはねる)

さらにヒキガエルは冬眠のため、冬場には土に潜る。
ヒキガエルは地上をはねる神から、地下の神、冥界の神に転じたのではないだろうか。

このように見ていくと、八咫烏は太陽神、兎とヒキガエルは月神のように思えてくるが、そうではないと思う。
↑ こちらの記事で、私は胸に三日月型の斑、三日月型の爪を持つ、月の輪熊は月の神ではないかと書いた。
そして、カラスの爪もまた、三日月型をしているからだ。

何故、太陽に住む八咫烏が月の神なのか?
それについては次回、説明したいと思う。


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