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カシオペア・北斗七星・北極星の呪術⑦ 変形される北斗七星

カシオペア・北斗七星・北極星の呪術⑥ 龍安寺石庭はカシオペアを模したものだった? よりつづく~
   
大阪府交野市 交野妙見宮

星田妙見宮 鳥居 紅葉 
星田妙見宮

①星の町・交野ヶ原

大阪府枚方市・交野市あたりは古には交野ヶ原と呼ばれており、平安時代の歌人・在原業平がこんな歌を詠んでいる。

狩りくらし たなばたつめに 宿からむ 天の河原に われは来にけり
(狩りをしていてすっかり日が暮れてしまった。今夜は織女姫に宿を借りることにしよう。我々は天の川の河原にやってきたのだから。)

この歌は在原業平が惟喬親王の狩りのお供をして、渚の院(大阪府枚方市)で詠んだ歌とされる。

京阪御殿山駅の東北に渚の院跡があり、その1kmほど南に天野川という川が流れている。
天野川をはさんで中山観音寺跡(観音山公園)と機物(はたもの)神社があり、中山観音寺跡はアルタイル(牽牛星・彦星)、機物神社はベガ(織姫星)を表しているとされる。

天の川 アルタイル ベガ

中山観音寺跡近くにて



上の地図の東側、第二京阪道路とJR片町線が交差するあたりに機物神社が、西側香里ヶ丘中央公園の南あたりに観音山公園がある。
郡津駅の西側を南北に流れる川は天野川。


機物神社

機物神社

中山観音寺跡

中山観音寺跡

また天野川をずっと遡っていくと磐船神社があり、物部氏の祖神・ニギハヤヒが降臨した場所だとされているが『雲陽誌』には『ニギハヤヒは星の神である』と記されている。

星田・星が丘など星の字のつく地名も多く、星田神社・天田神社・星の森などもある。
今日、お話しする星田妙見宮もここにある。

 星田妙見宮

星田妙見宮 絵馬堂

②2組あったアルタイルとベガに模した寺社

妙見山の頂上近くに星田妙見宮の拝殿があり、その奥に織女石が祀られている。
本殿はない。たぶんこの織女石が御神体なのだろう。

星田妙見宮 織女石 

星田妙見宮 織女石(たなばたいし)

星田妙見宮から天野川を挟んだ対岸には天田神社があり、天田(豊に実る田)の神を祀っている。
そして、この天田は牽牛が耕す田で、対岸の織女石は織姫であると考えられたという。

天田神社 
天田神社

天田神社付近の田圃

天田神社付近の田圃

最近の田おこしは耕運機で行うことがほとんどだが、昔は牛に犂(すき)をひかせて行っていた。
牽牛とは牛を牽いて田を耕す神というわけだ。

飛鳥坐神社 おんだ祭 田おこし 
飛鳥坐神社 おんだ祭 天狗が牛に犂をひかせて田を耕すシーン


つまり、交野ケ原には2組のアルタイルとベガに模した寺社があったということである。
(中山観音寺&織物神社、天田神社&星田妙見宮)

③隕石が落下した山

星田妙見宮-説明版

816年、ここに隕石が落ちたことで山が吹き飛ばされ、馬蹄形になっていると説明版に記されている。

星田妙見宮 滝の説明版 

落ちたのはペルセウス座流星群の母彗星スイフト・タッフル彗星からの隕石だと考えられているようだが、
これは星田妙見宮に伝わっていることで、正史に記録があるというわけではなさそうである。

星田妙見宮 登龍の滝 

星田妙見宮 登龍の滝 (わかりづらいですが、写真向かって左の黒っぽく見える縦の筋あたりに水が流れ落ちています。)

ちなみに星田妙見宮には隕石が落ちてきたという伝説はあっても、本物の隕石が存在しているわけではないようである。

④古の人々は巨石を空から落ちてきた星だと考えた?


『雲陽誌』には『星降って石となる』という古語があると記されている。
それが隕石であるかどうかは別にして、古の人は巨岩を空から落ちてきた星だと考えたのではないだろうか。

磐船神社 天の磐船

上の写真は①でご紹介した磐船神社の御神体・天の磐船である。
磐船神社の御祭神はニギハヤヒという物部氏の祖神で、ニギハヤヒはこの天の磐船を操ってここに天下ったとされる。
この石は隕石ではないが、古の人は巨石を空から落ちてきた星であると考え、
「ニギハヤヒがこの天の磐船を操って地上に天下った」という物語を創作したのではないだろうか。

物部氏は鉄鍛冶技術に長けていた?

古事記には天津麻羅(あまつまら)という神が登場する。
先代旧事本紀には次のように記されている。

「倭の鍛師(かなち)等の祖、天津真浦(あまつまうら)」
「物部造等の祖、天津麻良(あまつまら)、阿刀造等の祖、天麻良(あめのまら)」

阿刀氏はニギハヤヒの子のウマシマジノミコトを祖神とする氏族である。
物部氏はニギハヤヒを祖神としているので、同族と考えていいだろう。
鍛師は鍛冶師のことだと思う。
ここから物部氏は製鉄や鍛冶の技術に長けた氏族だったのではないかと想像される。



上はたたら吹きの様子を撮影した動画です。(動画お借りしました。動画主さん、ありがとうございます。)
映像が大変美しいです。


この動画を見るとわかるようにたたら製鉄は燃えあがる炎の中で行われる。
このたたら製鉄の様子が、夜空に光る星に喩えられたのではないかという説がある。

そして交野ヶ原のあたりには肩野物部氏が住んでいた。
肩野物部氏がたたら製鉄を行っていたため、交野ケ原は星の字のつく地名がたくさん残されているのではないだろうか。

⑥妙見大菩薩はたたら製鉄の神だった?

星田妙見宮の御祭神はアメノミナカヌシ・タカミムスビ・カミムスビだが、星田妙見宮の栞によるとこれらの神々は、「仏教では北辰妙見大菩薩、道教では太上神仙鎮宅霊符神という」と書いてある。

http://www.raifuku.net/special/wolf/details/myoken1.htm

↑ こちらに妙見星神の図像が掲載されている。
妙見星神の上に描かれている星を描いてみた。↓

妙見星神の上部に描かれた星 

上の三つ星は婁(たたらほし/おひつじ座β星)下の七つ星は北斗七星だと思う。

二十八宿
File:Twenty-eight mansions.jpg

ウィキペディア(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Twenty-eight_mansions.jpg?uselang=ja )よりお借りしました。

たたらというのは古代の製鉄にもちいる鞴(ふいご)のことで、たたら製鉄という言葉もここからくる。

File:Bellows 2 (PSF) generalized.png

ウィキペディアよりお借りした鞴(たたら)の図です。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Bellows_2_(PSF)_generalized.png?uselang=ja
作者はPearson Scott Foresmanさんです。ありがとうございます。

鞴はこのように三角形の構造になっているので、それに似ているということで「たたらほし」というのではないかと思う。
頭上にたたらぼしを戴く妙見星神(妙見大菩薩)はたたら製鉄の神なのではないだろうか?

星田妙見宮 紅葉 

②北斗七星の形に配置されない北斗七星の神々


大阪府交野市の星田妙見宮にはみほとけのお姿をした 貪狼星・ 巨門星・ 禄存星・ 文曲・ 廉貞星・ 武曲星・ 破軍星の像が境内の七か所に置かれていた。

星田妙見宮 禄在星 

星田妙見宮 禄在星の像


この貪狼星・ 巨門星・ 禄存星・ 文曲・ 廉貞星・ 武曲星・ 破軍星の七つの星は北斗七星を形成する星々であるが、北斗七星の形にはなっていなかった。
どうやら、北斗七星は変形されることがあるらしい?

星田妙見宮 境内図 

星田妙見宮 境内図 (案内板より)


⑥形を変えられた北斗七星?

星田妙見宮 旗のデザイン 

星田妙見宮 旗のデザイン

 上の写真は星田妙見宮にあった旗に描かれていたイラストを撮影したものである。
亀に蛇が巻き付いているのは、北方守護の聖獣・玄武の特徴である。(南は朱雀・東は青龍・西は白虎)

新熊野神社 玄武

新日吉神社 神幸祭の際、撮影した玄武。矛の飾り布についていたものです。


そして、その玄武の上に渦を巻く七つの星が描かれてる。

妙見信仰にはしばしば北極星だけでなく、北斗七星に対する信仰も含まれる。
星田妙見宮にも北斗七星の神・貪狼星・ 巨門星・ 禄存星・ 文曲・ 廉貞星・ 武曲星・ 破軍星の像が置かれており、ここに北斗七星信仰があったことがうかがえる。

すると上のイラストに描かれた渦を巻く七つの星は、形は違っているが北斗七星なのではないだろうか。

玄武(亀+蛇)の亀の部分は北極星を、玄武(亀+蛇)の蛇の部分は、北斗七星を表しているのではないだろうか。
とすれば北斗七星は変形させた形で描かれたということになるが、これはなぜだろうか。

北斗七星は北極星の周囲をまわる。
そのため、亀になぞらえた北極星の周囲を蛇がとりまくという形に変形されたのではないかと思ったりする。


 

カシオペア・北斗七星・北極星の呪術⑧ 『鞍馬に海賊が現れた?』 へつづく~
トップページはこちらです→ カシオペア・北斗七星・北極星の呪術① 伝香寺 『陰蔵相のあるはだか地蔵』

毎度、とんでも説におつきあいくださり、ありがとうございました!
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